天間荘の三姉妹 (2021)

文字数 702文字

【すべての人への鎮魂歌でした】 2022/11/1


2021年製作の本シネマ、東日本震災10年目という節目だったんだろうな。
別の災難であるコロナの影響で延期になったのだろうか?
とにもかくにも、壮大で美しい鎮魂歌として拝見した。

あれほど沢山の犠牲者を出した2011年から11年が過ぎようとする今、 自然災害とそこから発生した人的災害への備え、覚悟が忘れ去られようとしているのではと感じている僕には、とても貴重なシネマだった。
経済成長だけが国家の評価だという思い上がりをもうそろそろ捨て去る時だと思っている。
大切な人、忘れられない思い出を捨て去ってまで生きる意味がある人生などあるはずもない。 シネマは震災の犠牲者の鎮魂歌としてのみならず、生きることの大切さを諄々と諭してもくれる。

臨死状態の主人公(のん好演)に突き付けられる課題、
「元の世界に生き返るか、あるいは天国に行くか」を自分で選べという。
同じ選択を迫られる難病の高齢者と自殺を試みた若い女性。
現世でもう一度生きる事の辛さを知る三人が苦悩する姿が痛々しい。

よくよく想いを馳せれば、今を生きている僕だって同じような悩みを持っている。
天間には数多のすくわれない魂が彷徨っているのだろう、そして魂を失った肉体も同じようにこの世で行き先を求めて彷徨う。
シネマの展開とともに、別に臨死状態になり天間荘で生死を決断する必要などなく、これは目の前に突き付けられた現実問題だと悟る。
高齢者としてあの世への覚悟が持てそうな気持になった。

本シネマは、(のん)さんの起用で完ぺきになった。
「さかなのこ」の匂いを引きずっていたのはご愛敬だったが、やっぱり三陸には彼女が似合う。
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