忍びの国 (2017)

文字数 775文字

【忍びDNAの呪い】 2017/7/24



やっぱり中村監督作品を無視してはいけないのだ。
アイドル時代劇シネマ恐怖症になったのは「武士の一分」からだから結構長い間アイドル(もっと狭義に言うとジャニーズ)の時代劇を観ないで過ごしてきた。
そこに中村作品登場ということで深刻な葛藤最中に、見識豊な友人からもらった暑中見舞のなかに在った一言・・・
「センスの良いシネマです」にもう迷うことなく拝見した次第だ。
迷う時は確かな人に頼る…人生の基本だ。

僕が懸念してやまなかったアイドルは大野さんだ。
ところがシネマ全体が異様なカルチャーミックスで包まれている、これをして高感度センスといってもいいだろう。
音楽のセンスが良い、スコット・ラファーロタッチのウッドベースが随所にシネマのリズムを先導する。
かのアイドル君はバラエティ番組と同じトーンで喋る、余計な力は肩にもどこにも入っていない。
それは忍びの国の構成員である伊賀忍者全員に伝播していく、そう、忍者は現代人のカリカチュアだった。
なかには、卑怯な物言いをしたり、傲岸な行動に走る忍者たち。
シネマでは、そんな忍者の遺伝子が現代によみがえり、今のような世相を創り出していることを瞬間映像化する。
「自分たちの欲望のため、どんな権力にも従うことなく勝手に生き抜く虎狼の輩」

そんなポップなテイストと裏腹に、織田信雄軍勢の重臣たちが、コテコテの侍価値観をふりまき、一時僕は戦国時代に留め置かれ、またまた一方では、主人公の恋人がこれまた異色の結婚観を投げかける。
シネマは新旧日本文化のサラダボールの様相を呈していた。

シネマではそんな人でなしの生き方に反発する二人の若者がフィーチャされる。
人間らしく生きることの大切さを説くことがお笑いにならないことを、切に願うエンディングだった。
友人の指摘通り、センスの良いシネマでした、間違いなく。
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