今夜、ロマンス劇場で (2018)

文字数 730文字

【 好きなひとと一緒に過ごしたい】 2018/2/14



昭和35年といえば、僕の家にテレビがやってくる一年前、
映画が斜陽産業に舵を切るころだった。
そんな時代に、戦前全盛時の古いシネマのヒロインに恋する青年助監督。

そんな彼が夜な夜な通うのは懐かしい佇まいのロマンス劇場、
そこでプリンセス女優(綾瀬はるか)に一人没頭する。
シネマは一握りの名作のみが人々の心に残るだけ、
ほとんどは忘れ去られていく中で、ひとりの女優を愛する青年。
こんな経験はシネマファンであれば誰でもしている。

僕であれば、
「思い出の夏」のジェニファー(ジェニファー・オニール)
「冒険者たち」のレティシア(ジョアンナ・シムカス)
「大いなる遺産」のエステラ(グウィネス・パルトロウ)
の女優さんたちだ。
でも、僕はあくまでも彼女たちの演じた人物に魅了された。

だが本シネマでは、青年はどうやら女性そのものを愛していたようだった、
女優でもなく役柄でもなく。
その愛する女優がスクリーンから現実世界に飛び出してくることから生じる
愛と涙の顛末がメインストーリー。
物語は青年の書いた脚本として再現される一方、
現実には60年の歳月が流れて青年は死を迎えようとしている。
その脚本自体がファンタジーなのか本当の出来事だったのかは不明、
ましてや結末は未完成のままだ。

その恋には「愛する二人は触れ合うことができない」という制約があった。
愛する人と触れることなく生涯を共にすることができるか?
若い頃であれば到底考えつかない試練だ、おそらく若い人にはナンセンスの一言のみだろう。

なかなか面白い命題を提示してくれたシネマだった。
強固な愛とは?
優しさとは?
そして夢とは?

心温まる万色のエンディングだったが、もっと早くてもよかったかな脱稿は。
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