日本で一番悪い奴ら (2016)

文字数 617文字

【ハイ、それは道警です】 2016/6/25



知る人ぞ知る道警スキャンダル「稲葉警部事件」を
まさかシネマで観るとは思いもよらなかった。

聞くところによれば、綾野さんもこんな映画を撮ってもいいのですか?と悩んだとか。
シネマ冒頭で、例の「事実に基づくフィクションです」という
いかにも曖昧な日本語が陳列される。
事実かフィクションか、いったいどっちなんだよ?

一方では、タイトルの「日本で一番悪い奴ら」とか、
予告編で主人公に「一度も悪いことしたことないのですかっ?」
という面白おかしいフレーズをシャウトさせてみたり解毒に気を使っている。
しかし、本作は強烈な告発シネマだ。
現場の刑事が、特にマル暴の刑事が相手に取り込まれて自滅することはあり得ること。
主人公も道警社内習慣に従い、どんどんと不法な検挙を重ねて
道警のエースと呼ばれるまでになる。
拳銃の密輸を仕組んだ作戦は、
実際に稲葉警部が証言しているとおり道警も承認した泳がせ捜査だった。
そして、その失敗は一部の人間の不審死と主人公の逮捕で見事にしっぽ切りが行われている。

然もありなん、
実はこの稲葉警部事件なんかより規模の大きな不正行為である
「裏金問題」を道警はもみ消している。
本シネマでも、ちらりと裏金のことに触れてはいるが・・・。
この顛末は【真実 新聞が警察に跪いた日】(角川文庫 2014年)に詳しい。
日本で一番悪い奴ら・・・・とは誰か。

次は、「道警の裏金問題と報道の自由」の映画化を期待している。

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