44:地下にスイーツショップがいっぱい

文字数 453文字

ミユちゃん、行きたいところある?
私は、別に……
んじゃ、チユチユに決めてもらおうぜ!

えっ、チユキ?

……いいの?

好きにしたら?
なら……
 ちらりとチユキちゃんが私を見る。
 私は小さく頷くよ。
最近出来たデパートに行こ!
地下にスイーツショップがいっぱいあるんだって! ミユさん、お店のメニューの参考になるんじゃない?
それ、いいんじゃない?
スイーツを作る以上、スイーツ食べて勉強しなきゃだし!
……そうね。
あなたにしてはいいアイディアだわ
でっしょ?
 と、胸を張るチユキちゃん。
 チユキちゃんは昨夜、私にLINEを送ってきたよ。ミユちゃんを連れて行ったら喜びそうなところが、知りたいって。
ミユちゃんといえばスイーツだから、そういうお店がいいんじゃないかな?
 私が返信すると

ありがとう

調べてみる

 と返ってきた。
 私に店を聞かなかったあたり、ミユちゃんが喜びそうなお店は、ちゃんと自分で調べたかったんだと思う。
 つまり、それほど本気でミユちゃんと打ち解けようとしているってこと。この気持ちがミユちゃんに伝わればいいけれど。
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登場人物紹介

夏木紗彩(なつきさあや) 高2


夢を諦めた少女。幼い頃からパティシエールに憧れていたが、幼馴染のミユに実力差を見せつけられ、心が折れた。今はコンビニやお店のスイーツをレポする動画「紗彩チャンネル」を運営。そこそこ人気でお小遣い稼ぎにはなっているが、一方で夢を追うキラキラした人たちに嫉妬していて、いつもどこか不満げ。夢を諦めた瞬間から、スイーツの幻影が見えるように。

春風ミユ 高2


夢を本気で追う少女。紗彩の幼馴染で、実家は人気スイーツ店「ハルカゼ」。幼い頃からパティシエールを目指し修行している。スイーツへの情熱が凄い。一方で、本気で努力せず「できない」と口にする人の気持ちが理解できず、女子とは喧嘩になりやすい。そのため、紗彩以外の友だちがいない

クリームの声が聞こえるらしい。

氷崎マオ 高2


夢を応援できる少女。いつもゲーセンで遊んでばかりの帰宅部。友達も多く、リア充。勉強もちゃんとするし、成績は平均より少し上程度。なんでもそこそこにこなせるけど、特別得意なことがあるわけではなく、夢を持っているわけでもない。だから、学生でありながら好きなことで金を稼ぐ紗彩が羨ましくて、それなのになぜ不満を抱いているのか、理解できずにいる。

冬兎チユキ 高2


夢追い人を尊敬し、夢を持ちたい少女
今が楽しければそれでいいじゃん、という考えで適当に生きている。甘いもの大好き、紗彩の動画もチェックしている。普通の女子高生。ミユには嫌われている。

アーニャ 20歳


夢のために他を犠牲にした女。売れない大道芸人。好きなこと以外はやりたくない。だけど、好きなことのためならなんでもする。様々な芸をこなし、歌もダンスもモノマネも出来るし、はやりのネタにはすぐに飛びつく。夢のために高校を中退している。努力家。


黒井先生 


夢を追い別の道にたどり着いた大人。主人公たちの担任にして、体育教師。かつてはプロ野球選手になりたいという、平凡だが大きな夢を抱いていた。レギュラーにもなれず夢に破れてからは、応援してくれた監督に感謝し、彼のような教師になりたいと考えた。必死に勉強し、今の立場にある。


スイーツの幻影


紗彩にだけ見える。「夢を諦めて本当にいいの?」「後悔してない?」と、事あるごとに語りかけてくる。

クリームの幻聴


ミユにだけ聞こえる。心の迷いを表しているらしい。

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