40:決めたんだ

文字数 460文字

たしかに私は逃げた。だけど、逃げた先で見つけたYouTuberという道。

今度はそれを活かし、YouTuberパティシエールとしての道を進む

私はミユちゃんを、ミユちゃんは私を、羨ましいと思っていた。それは、お互い違うから。ないものを持っているから

私だけのやり方を進めば、きっともう私は大丈夫になれる
けれど、どちらもやるのは大変だよ。二足の草鞋って言葉は知ってるかい?

もちろん、まだ迷いはあるし怖くもある。

それでも、ミユちゃんが頑張ってるんだもん。私も頑張らなくちゃ

とにかく、週末はミユちゃんを見届けるよ。頑張るミユちゃんを応援して、次は私が頑張る番
誰かを応援できなかった君が、応援できるようになろうというんだね?
そんな立派なものじゃないよ。幼馴染のミユちゃんのことくらいは、やっぱり応援したいもん
結局、大好きなはずのミユちゃんのことすら応援できない、そんな自分は嫌だから――

という、自分勝手な理由なのかもしれないけど
とにかく決めたんだ
そうか。なら、進むといい
うん!
 私が力強く頷くと、スイーツの幻影はスーッと消えていった。
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登場人物紹介

夏木紗彩(なつきさあや) 高2


夢を諦めた少女。幼い頃からパティシエールに憧れていたが、幼馴染のミユに実力差を見せつけられ、心が折れた。今はコンビニやお店のスイーツをレポする動画「紗彩チャンネル」を運営。そこそこ人気でお小遣い稼ぎにはなっているが、一方で夢を追うキラキラした人たちに嫉妬していて、いつもどこか不満げ。夢を諦めた瞬間から、スイーツの幻影が見えるように。

春風ミユ 高2


夢を本気で追う少女。紗彩の幼馴染で、実家は人気スイーツ店「ハルカゼ」。幼い頃からパティシエールを目指し修行している。スイーツへの情熱が凄い。一方で、本気で努力せず「できない」と口にする人の気持ちが理解できず、女子とは喧嘩になりやすい。そのため、紗彩以外の友だちがいない

クリームの声が聞こえるらしい。

氷崎マオ 高2


夢を応援できる少女。いつもゲーセンで遊んでばかりの帰宅部。友達も多く、リア充。勉強もちゃんとするし、成績は平均より少し上程度。なんでもそこそこにこなせるけど、特別得意なことがあるわけではなく、夢を持っているわけでもない。だから、学生でありながら好きなことで金を稼ぐ紗彩が羨ましくて、それなのになぜ不満を抱いているのか、理解できずにいる。

冬兎チユキ 高2


夢追い人を尊敬し、夢を持ちたい少女
今が楽しければそれでいいじゃん、という考えで適当に生きている。甘いもの大好き、紗彩の動画もチェックしている。普通の女子高生。ミユには嫌われている。

アーニャ 20歳


夢のために他を犠牲にした女。売れない大道芸人。好きなこと以外はやりたくない。だけど、好きなことのためならなんでもする。様々な芸をこなし、歌もダンスもモノマネも出来るし、はやりのネタにはすぐに飛びつく。夢のために高校を中退している。努力家。


黒井先生 


夢を追い別の道にたどり着いた大人。主人公たちの担任にして、体育教師。かつてはプロ野球選手になりたいという、平凡だが大きな夢を抱いていた。レギュラーにもなれず夢に破れてからは、応援してくれた監督に感謝し、彼のような教師になりたいと考えた。必死に勉強し、今の立場にある。


スイーツの幻影


紗彩にだけ見える。「夢を諦めて本当にいいの?」「後悔してない?」と、事あるごとに語りかけてくる。

クリームの幻聴


ミユにだけ聞こえる。心の迷いを表しているらしい。

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