26:夢をかなえるとは

文字数 1,237文字


あああああああ!
考えさせてなんて言っちゃったけど、なにを考えればいいんだろう!


考えるまでもなく、答えは出てるじゃないか
……そうだね。私はパティシエールに未練がある。
美味しいスイーツで、ユキさんみたいに食べた人を笑顔にさせる。好きなことで成功して、認められたい。
そして、私はミユちゃんと同じで、2人でスイーツ作りを全力でやって、互いに高め合いたい。
だけど、差をつけられるのは辛いし、ミユの才能と実力が怖い
そう。
かと言って、YouTuber活動はどんなに頑張っても、私の心を満たさない

なら、相談してみればいいじゃないか
マオちゃんに?
それとも、この気持ちをミユちゃんにすべて打ち明けて……?
うってつけの人物がいるじゃないか。君の動画にさ
……アーニャさん
 私はすぐに、大道芸人をしているアーニャさんのツイッターアカウントに、ダイレクトメッセージを送ったよ
アーニャさん。いきなりでごめんなんだけど、ちょっと聞いてもいい?
悩んでることがあって
いいよ~~(*゚▽゚)ノ
なになに??( *ᵅั ω ᵅั*)
アーニャさんは昔からずっと大道芸人になりたかったの?
そーだよー( ‘ω’ )
小学生の頃に、広場で見た大道芸人のお姉さんがかっこよくって!
私もこうなりたいって思ったんだよー('ω'*)キャッイッチャッタハズカシイ////

それからはずっと努力の日々?
んー、そうでもないかも?

最初の方は適当だったし。


でもでも、ジャグリングができるようになってくると、クラスのみんなが凄いって褒めてくれて。
それが嬉しかったから、もっともっと本気になったよ
本気にって、たとえば?

んー、これは正直、今でもどうすればいいのか、よくわかんないんだけどさ。


とにかく、できることは片っ端からやったの。
いろいろな大道芸人のショーを見たり、玉乗りからマジック、トークの練習もした
あ、玉乗りってそういう意味じゃないよ?
えっと……ちょっとなに言ってるのか……
トークと言えば、お笑い芸人さんのトークも勉強したっけ。
セリフをメモしたり。
正直ソレは時間ばっかりくって、無駄だった気もするけど
とにかく、できることはなんでもしたの。
だから私は中学では友達付き合いが少なくて、ちょっと浮いてた。

高校ではね、私を弟子にしてくれるって人と会って、
親の反対を押し切って中退しちゃった
ええ!?


そこまでしたんだ

結果、そのお師匠さんは怪我で引退しちゃって。
今の私も、まだまだ大道芸人一本で食っていけるわけでもないけどね。
路上パフォーマンスをしつつ、時々大道芸に関する記事を書いて、ライターで稼いでるの
そんなことまで……。
家賃とか食事代とか、稼げてるの?
正直苦しいね~(-。-;)

高校生に戻って、幸せな青春を送る夢はよくみる。

そして目覚めたら、私はもう成人していて……


うわあああ現実に戻ったあああああ!!


ってなるの

なにそれ怖い!
ソンビに囲まれるんだけど、手からビーム出して無双する夢もよくみる
なにそれ怖……くはないか

辛くないの?

その……大道芸人やってて

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登場人物紹介

夏木紗彩(なつきさあや) 高2


夢を諦めた少女。幼い頃からパティシエールに憧れていたが、幼馴染のミユに実力差を見せつけられ、心が折れた。今はコンビニやお店のスイーツをレポする動画「紗彩チャンネル」を運営。そこそこ人気でお小遣い稼ぎにはなっているが、一方で夢を追うキラキラした人たちに嫉妬していて、いつもどこか不満げ。夢を諦めた瞬間から、スイーツの幻影が見えるように。

春風ミユ 高2


夢を本気で追う少女。紗彩の幼馴染で、実家は人気スイーツ店「ハルカゼ」。幼い頃からパティシエールを目指し修行している。スイーツへの情熱が凄い。一方で、本気で努力せず「できない」と口にする人の気持ちが理解できず、女子とは喧嘩になりやすい。そのため、紗彩以外の友だちがいない

クリームの声が聞こえるらしい。

氷崎マオ 高2


夢を応援できる少女。いつもゲーセンで遊んでばかりの帰宅部。友達も多く、リア充。勉強もちゃんとするし、成績は平均より少し上程度。なんでもそこそこにこなせるけど、特別得意なことがあるわけではなく、夢を持っているわけでもない。だから、学生でありながら好きなことで金を稼ぐ紗彩が羨ましくて、それなのになぜ不満を抱いているのか、理解できずにいる。

冬兎チユキ 高2


夢追い人を尊敬し、夢を持ちたい少女
今が楽しければそれでいいじゃん、という考えで適当に生きている。甘いもの大好き、紗彩の動画もチェックしている。普通の女子高生。ミユには嫌われている。

アーニャ 20歳


夢のために他を犠牲にした女。売れない大道芸人。好きなこと以外はやりたくない。だけど、好きなことのためならなんでもする。様々な芸をこなし、歌もダンスもモノマネも出来るし、はやりのネタにはすぐに飛びつく。夢のために高校を中退している。努力家。


黒井先生 


夢を追い別の道にたどり着いた大人。主人公たちの担任にして、体育教師。かつてはプロ野球選手になりたいという、平凡だが大きな夢を抱いていた。レギュラーにもなれず夢に破れてからは、応援してくれた監督に感謝し、彼のような教師になりたいと考えた。必死に勉強し、今の立場にある。


スイーツの幻影


紗彩にだけ見える。「夢を諦めて本当にいいの?」「後悔してない?」と、事あるごとに語りかけてくる。

クリームの幻聴


ミユにだけ聞こえる。心の迷いを表しているらしい。

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