47:スイーツパフォーマー(1/26大幅修正)

文字数 1,403文字

 こうして今度は、おしゃれなお店で服を物色。慣れないミユちゃんは
…………
 店内でおろおろするけれど
これとかミユちゃんに合うんじゃない?
それともこっちは? ミユちゃんはどんな服が好き?
 チユキちゃんに引っ張られ、あれこれ着せられ
たまにはおしゃれしてみるのも、悪くないわね
 なんて言い出しちゃって。
 帰る頃には
たしかに、マオの言う通りだわ。
私はチユキのこと、よく知りもしないで否定していたわ
私よりコミュ力あるし、おしゃれに詳しいし、私に合いそうな服を真剣に選んでくれて……
あなたのこと、誤解していたわ。

チユキ、今日はありがとう

ミユさん、チユキのこと、チユキって呼んでくれた……
反応するポイント、そこかい!
ええ。チユキも私のこと、ミユでいいわ
 なんて打ち解けちゃった。
チユキちゃんのこと、もう嫌いじゃなくなったんだ?
チユキは私をエスコートしてくれた。スイーツショップも、あの服屋も、私のために調べてくれたのでしょう? でなきゃ、あんなにうまくエスコートできないもの

おしゃれにも詳しいし……私は自分の興味のない世界のことを、知らなすぎた。

だけど、チユキは自分の好きなこと、やりたいことに関してちゃんと全力だったのね

夢のために頑張ることだけが努力じゃないって、わかった気がするわ。

むしろチユキからしたら、私は人付き合いに関して努力しなさすぎだもの

チユキ。前にあなたのこと、否定したわよね。

適当に生きているって、私のこと知らないくせにわかった風なこと言わないでって

あなたのことを知ろうともせず、わかった気になっているのは私の方だった。ごめんなさい!
いいよ。ミユのことわかってなかったのは、チユキも同じだし
チユキは夢のために頑張れるミユのこと、尊敬してる。でも、そんなの関係なく、友達になろ?
……ありがとう///
おお、ミユミユが素直に褒められることを受け入れた!?

こりゃ明日は生クリームの雨が降るか!?

茶化さないで。私だって、成長するわ
そうだな。チユチユの”ミユミユと仲良くなるための努力”に、ミユミユが気づいた。そして受け入れた。立派な成長を遂げて、お姉さんは嬉しいぜ
いつからマオは私のお姉さんになったのよ

ともかく、私は一歩前に進んだ。なら、今度は紗彩の番よ。

紗彩は、これからどうしていくの?

私は……
(スイーツを作りたい。この気持は本物だ。だったら、答えはもう決まってる)
パティシエールを目指すよ。動画の配信もやっていく。そうやって、スイーツと動画、舌と目で皆を楽しませられる存在になりたい
スイーツパフォーマーってわけね
スイーツパフォーマー!?
なんか、かっこいいかも……
スイーツ教室とか、開いてみたらどう?
スイーツ教室……?
ほら、紗彩って、YouTuberとしてのファンもそこそこいるでしょ?
動画で人を集めて、来てくれた人にスイーツ作りを教えんの

私が、教える……。

その発想はなかったなぁ。けど、まだプロでもない私が……

ちびっこ限定にして、その様子をまた動画にするってのもアリかもな。パティシエールとしてだけじゃねぇ。YouTuberとしても、面白くなるんじゃね?

先生ではなく、あくまでそういう企画。イベント

として考えれば、プロアマは関係ないわね。プロになっていないから教える資格がない、と悩む必要もなくなるわ。だって、そうやって楽しませる企画なのだから

ええ、そうね。

そう考えると、紗彩には合ったやり方かもしれないわ

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登場人物紹介

夏木紗彩(なつきさあや) 高2


夢を諦めた少女。幼い頃からパティシエールに憧れていたが、幼馴染のミユに実力差を見せつけられ、心が折れた。今はコンビニやお店のスイーツをレポする動画「紗彩チャンネル」を運営。そこそこ人気でお小遣い稼ぎにはなっているが、一方で夢を追うキラキラした人たちに嫉妬していて、いつもどこか不満げ。夢を諦めた瞬間から、スイーツの幻影が見えるように。

春風ミユ 高2


夢を本気で追う少女。紗彩の幼馴染で、実家は人気スイーツ店「ハルカゼ」。幼い頃からパティシエールを目指し修行している。スイーツへの情熱が凄い。一方で、本気で努力せず「できない」と口にする人の気持ちが理解できず、女子とは喧嘩になりやすい。そのため、紗彩以外の友だちがいない

クリームの声が聞こえるらしい。

氷崎マオ 高2


夢を応援できる少女。いつもゲーセンで遊んでばかりの帰宅部。友達も多く、リア充。勉強もちゃんとするし、成績は平均より少し上程度。なんでもそこそこにこなせるけど、特別得意なことがあるわけではなく、夢を持っているわけでもない。だから、学生でありながら好きなことで金を稼ぐ紗彩が羨ましくて、それなのになぜ不満を抱いているのか、理解できずにいる。

冬兎チユキ 高2


夢追い人を尊敬し、夢を持ちたい少女
今が楽しければそれでいいじゃん、という考えで適当に生きている。甘いもの大好き、紗彩の動画もチェックしている。普通の女子高生。ミユには嫌われている。

アーニャ 20歳


夢のために他を犠牲にした女。売れない大道芸人。好きなこと以外はやりたくない。だけど、好きなことのためならなんでもする。様々な芸をこなし、歌もダンスもモノマネも出来るし、はやりのネタにはすぐに飛びつく。夢のために高校を中退している。努力家。


黒井先生 


夢を追い別の道にたどり着いた大人。主人公たちの担任にして、体育教師。かつてはプロ野球選手になりたいという、平凡だが大きな夢を抱いていた。レギュラーにもなれず夢に破れてからは、応援してくれた監督に感謝し、彼のような教師になりたいと考えた。必死に勉強し、今の立場にある。


スイーツの幻影


紗彩にだけ見える。「夢を諦めて本当にいいの?」「後悔してない?」と、事あるごとに語りかけてくる。

クリームの幻聴


ミユにだけ聞こえる。心の迷いを表しているらしい。

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