65:マジでパフォーマーやれるよ

文字数 609文字

 マオちゃんと黒井先生がグローブをはめ込み、アーニャさんはバットを手にするよ。
それっ
 マオちゃんがステージの中央、空中にフラフープを投げた。
っ!!

 そして、黒井先生がボールを投げる!

 ステージの端から端へ。


 ボールは空中を移動するフラフープを見事に通過して、

やっ!
 その先で待ち構えていたアーニャさんが、バットで打つ。
!!

 打たれたボールは、黒井先生の脇に立っていたバスケットゴールに当たり、ゴールリングの間に落ちた。

 つまり、シュートされた。

ふおおおお!
すごーい!!
 今度は黒井先生がボールを手にし、アーニャさんに背中を向ける。
いきます!

 そして、投げる。

 ボールをバスケットゴールのリングに当てた。

……
 マオちゃんはステージの下に降りて、万が一の時はボールをキャッチする構え。
はいっ!
 跳ね返ったボールを、アーニャさんが打ちあげた。
まさかっ!
 弧を描き落ちるボールは、再びゴールリングを通過していった。
 拍手喝采だよ!

いやー、ブラック先生凄いじゃん!

これならマジでパフォーマーやれるよ!

アーニャさんこそ、短期間の練習でよくここまで!

2人ともすげぇ!

というわけで、もっと拍手拍手!

 マオちゃんがあおると、一層拍手の音が強くなった。

さあ、いよいよつぎはスイーツパフォーマンスだ!

登場して頂きましょう!

スイーツYouTuber SAYAと、人気スイーツ店「ハルカゼ」のパティシエールミユによる、チーム「ハルカゼ」です!!

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登場人物紹介

夏木紗彩(なつきさあや) 高2


夢を諦めた少女。幼い頃からパティシエールに憧れていたが、幼馴染のミユに実力差を見せつけられ、心が折れた。今はコンビニやお店のスイーツをレポする動画「紗彩チャンネル」を運営。そこそこ人気でお小遣い稼ぎにはなっているが、一方で夢を追うキラキラした人たちに嫉妬していて、いつもどこか不満げ。夢を諦めた瞬間から、スイーツの幻影が見えるように。

春風ミユ 高2


夢を本気で追う少女。紗彩の幼馴染で、実家は人気スイーツ店「ハルカゼ」。幼い頃からパティシエールを目指し修行している。スイーツへの情熱が凄い。一方で、本気で努力せず「できない」と口にする人の気持ちが理解できず、女子とは喧嘩になりやすい。そのため、紗彩以外の友だちがいない

クリームの声が聞こえるらしい。

氷崎マオ 高2


夢を応援できる少女。いつもゲーセンで遊んでばかりの帰宅部。友達も多く、リア充。勉強もちゃんとするし、成績は平均より少し上程度。なんでもそこそこにこなせるけど、特別得意なことがあるわけではなく、夢を持っているわけでもない。だから、学生でありながら好きなことで金を稼ぐ紗彩が羨ましくて、それなのになぜ不満を抱いているのか、理解できずにいる。

冬兎チユキ 高2


夢追い人を尊敬し、夢を持ちたい少女
今が楽しければそれでいいじゃん、という考えで適当に生きている。甘いもの大好き、紗彩の動画もチェックしている。普通の女子高生。ミユには嫌われている。

アーニャ 20歳


夢のために他を犠牲にした女。売れない大道芸人。好きなこと以外はやりたくない。だけど、好きなことのためならなんでもする。様々な芸をこなし、歌もダンスもモノマネも出来るし、はやりのネタにはすぐに飛びつく。夢のために高校を中退している。努力家。


黒井先生 


夢を追い別の道にたどり着いた大人。主人公たちの担任にして、体育教師。かつてはプロ野球選手になりたいという、平凡だが大きな夢を抱いていた。レギュラーにもなれず夢に破れてからは、応援してくれた監督に感謝し、彼のような教師になりたいと考えた。必死に勉強し、今の立場にある。


スイーツの幻影


紗彩にだけ見える。「夢を諦めて本当にいいの?」「後悔してない?」と、事あるごとに語りかけてくる。

クリームの幻聴


ミユにだけ聞こえる。心の迷いを表しているらしい。

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