37:生まれた頃からの幼馴染だもん ※1/26大幅修正・加筆

文字数 1,125文字

えっ? な、なに?

急に……

(えっ? っていうか、今……嫉妬って。

嫉妬? ミユちゃんが、私に嫉妬……?)

紗彩……
(よくわからないけど、ミユちゃんは本音をぶつけてくれたんだ!)
(私は……ミユちゃんが……。

言わなきゃ。今だけは……)

わ、私も……。私も……!


私もミユちゃんのこと! 好きだよ!!

 ざわ……

    ざわ……

そして! 私もミユちゃんに嫉妬してた!


みんながミユちゃんのケーキを認めるのも、それを疎ましく思える環境も! 羨ましかった!

それから、怖くもあるの!


ミユちゃんの才能に突き放されてしまうのが! 心が折れるのも、それでミユちゃんにあたってしまうかもしれないのも!

怖いの~~~~~~~~~!
(めっちゃ動画で配信してええええええええええええええええええ)
(いや、青春に無粋な真似はよくないな。頑張れお前ら! アタシは正直に生きる者たちの味方だぜ)
そう……。
私たち、互いにないものを羨ましがっていたのね

けど、大丈夫よ。私はなにがあってもあなたの味方だし。たとえきつく当たられても、ご褒美だと思うことにするわ!

(いや、それはどーなんだ?

って、ツッコミてええええええ)

私だって! ミユちゃんは生まれた頃からの幼馴染だもん! ほかにどんなに沢山の友達が出来ても、ミユちゃんのことは大好きだし置いて行ったりなんか、しない!
(そう。こうやって言葉で伝えあうことで、わかること、感じあえることもある。

紗彩が私を置いていくわけないって、本当はわかっていたはずなのに。私はそれを言葉で聞いて、安心したかったんだわ)

……紗彩。
私、本当はあなたみたいに、もっと素直になりたいわ
私が素直……?

まあ、ミユちゃんよりは、そうなのかなぁ……

だったら!
チユキと友達になろう!
……はい?

(おお~~~~っと!

ここで乱入!! 盛り上がってきましたあああああああああああーーーーーっ!!)

ミユさんが素直になれないのは、交流が少ないからっしょ!
つまり、人間関係とか、そういう経験が少ないから、精神が未熟なの!
み、未熟……
チユキと友達になろう!
だ、だからってなんでそうなるのよ!

(まずい。チユキの言葉足らずが悪い方向に……。

仕方ねえ……武力介入!!)

まあまあ。おもしれーじゃねぇか。
そうだ。だったら今度の休日、4人で遊びにいこうぜ
なんでそうなるのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

お前、なんかヤケになってね?

つーかお前ら、場の雰囲気に酔ってきてるだろ

そ、そんなこと……げほっ、ごほっ……はぁ、はぁ……

おいおい。

慣れねえ大声出しまくるから

まあ、アレだ。

話してみてわかることがあれば、知ってわかることもあるんだぜ。ミユミユはチユチユが嫌いらしいけど、ろくにあいつのことしらねーだろ?

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

夏木紗彩(なつきさあや) 高2


夢を諦めた少女。幼い頃からパティシエールに憧れていたが、幼馴染のミユに実力差を見せつけられ、心が折れた。今はコンビニやお店のスイーツをレポする動画「紗彩チャンネル」を運営。そこそこ人気でお小遣い稼ぎにはなっているが、一方で夢を追うキラキラした人たちに嫉妬していて、いつもどこか不満げ。夢を諦めた瞬間から、スイーツの幻影が見えるように。

春風ミユ 高2


夢を本気で追う少女。紗彩の幼馴染で、実家は人気スイーツ店「ハルカゼ」。幼い頃からパティシエールを目指し修行している。スイーツへの情熱が凄い。一方で、本気で努力せず「できない」と口にする人の気持ちが理解できず、女子とは喧嘩になりやすい。そのため、紗彩以外の友だちがいない

クリームの声が聞こえるらしい。

氷崎マオ 高2


夢を応援できる少女。いつもゲーセンで遊んでばかりの帰宅部。友達も多く、リア充。勉強もちゃんとするし、成績は平均より少し上程度。なんでもそこそこにこなせるけど、特別得意なことがあるわけではなく、夢を持っているわけでもない。だから、学生でありながら好きなことで金を稼ぐ紗彩が羨ましくて、それなのになぜ不満を抱いているのか、理解できずにいる。

冬兎チユキ 高2


夢追い人を尊敬し、夢を持ちたい少女
今が楽しければそれでいいじゃん、という考えで適当に生きている。甘いもの大好き、紗彩の動画もチェックしている。普通の女子高生。ミユには嫌われている。

アーニャ 20歳


夢のために他を犠牲にした女。売れない大道芸人。好きなこと以外はやりたくない。だけど、好きなことのためならなんでもする。様々な芸をこなし、歌もダンスもモノマネも出来るし、はやりのネタにはすぐに飛びつく。夢のために高校を中退している。努力家。


黒井先生 


夢を追い別の道にたどり着いた大人。主人公たちの担任にして、体育教師。かつてはプロ野球選手になりたいという、平凡だが大きな夢を抱いていた。レギュラーにもなれず夢に破れてからは、応援してくれた監督に感謝し、彼のような教師になりたいと考えた。必死に勉強し、今の立場にある。


スイーツの幻影


紗彩にだけ見える。「夢を諦めて本当にいいの?」「後悔してない?」と、事あるごとに語りかけてくる。

クリームの幻聴


ミユにだけ聞こえる。心の迷いを表しているらしい。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色