17:言えたじゃねぇか ※1/26大幅修正・加筆

文字数 436文字

……やっと消えたわね
 どきりとした。
……やっぱり、マオちゃん呼んだのまずかった?
怒ってる?
少し
私がミユちゃんをずっと避けていたことに関しては?
怒ってる?
かなり
……
嘘よ

……え?
むしろ、逆よ。私があなたを怒らせたんじゃないかって、ずっと気にしてた。
でも、違ったのね
違うよ!
ミユちゃんはなにも悪くない!
私が勝手にミユちゃんのスイーツと、人気に嫉妬して、それで……
だけど、私は空気を読まずに、それを自慢して、あなたを傷つけたわ
私の心が弱かっただけだよ。
逆の立場なら、私も自慢したかもしれない。ううん、きっとしてる
……紗彩がスイーツを作らなくなったのは、私のせいなの?
…………
……ごめんなさい。また、空気読めなかったわね。
言いにくいのなら、別にいいわ。
ち、違う。私が臆病なだけ。だから、謝らないで!
スイーツ作り……うまくいかなくて、私だけ置いてかれるのが、怖かっただけだから……!!
ちゃんと言えたじゃねーか。
聞けてよかった
(うるさい、あんたは黙っててよ)
やっぱつれぇわ
(はい、無視)
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登場人物紹介

夏木紗彩(なつきさあや) 高2


夢を諦めた少女。幼い頃からパティシエールに憧れていたが、幼馴染のミユに実力差を見せつけられ、心が折れた。今はコンビニやお店のスイーツをレポする動画「紗彩チャンネル」を運営。そこそこ人気でお小遣い稼ぎにはなっているが、一方で夢を追うキラキラした人たちに嫉妬していて、いつもどこか不満げ。夢を諦めた瞬間から、スイーツの幻影が見えるように。

春風ミユ 高2


夢を本気で追う少女。紗彩の幼馴染で、実家は人気スイーツ店「ハルカゼ」。幼い頃からパティシエールを目指し修行している。スイーツへの情熱が凄い。一方で、本気で努力せず「できない」と口にする人の気持ちが理解できず、女子とは喧嘩になりやすい。そのため、紗彩以外の友だちがいない

クリームの声が聞こえるらしい。

氷崎マオ 高2


夢を応援できる少女。いつもゲーセンで遊んでばかりの帰宅部。友達も多く、リア充。勉強もちゃんとするし、成績は平均より少し上程度。なんでもそこそこにこなせるけど、特別得意なことがあるわけではなく、夢を持っているわけでもない。だから、学生でありながら好きなことで金を稼ぐ紗彩が羨ましくて、それなのになぜ不満を抱いているのか、理解できずにいる。

冬兎チユキ 高2


夢追い人を尊敬し、夢を持ちたい少女
今が楽しければそれでいいじゃん、という考えで適当に生きている。甘いもの大好き、紗彩の動画もチェックしている。普通の女子高生。ミユには嫌われている。

アーニャ 20歳


夢のために他を犠牲にした女。売れない大道芸人。好きなこと以外はやりたくない。だけど、好きなことのためならなんでもする。様々な芸をこなし、歌もダンスもモノマネも出来るし、はやりのネタにはすぐに飛びつく。夢のために高校を中退している。努力家。


黒井先生 


夢を追い別の道にたどり着いた大人。主人公たちの担任にして、体育教師。かつてはプロ野球選手になりたいという、平凡だが大きな夢を抱いていた。レギュラーにもなれず夢に破れてからは、応援してくれた監督に感謝し、彼のような教師になりたいと考えた。必死に勉強し、今の立場にある。


スイーツの幻影


紗彩にだけ見える。「夢を諦めて本当にいいの?」「後悔してない?」と、事あるごとに語りかけてくる。

クリームの幻聴


ミユにだけ聞こえる。心の迷いを表しているらしい。

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