サイキョウさんとリリムちゃん、お別れをする
文字数 700文字
サイキョウさんの方からリリムちゃんに触れてくることは――折檻をする場合や助ける場合を別にすればですが――殆どありませんでした。
ましてや撫でるなんていう行為は、初めてのことです。
リリムちゃんがそんなことを考えながら、サイキョウさんのするがままに任せていると。しばらく撫で続けた後で、サイキョウさんは撫でる手の動きを止めてから口を開きました。
文字通りの意味さ。やりたいことをやればいい。
この屋敷は今やもう、おまえさんの国みたいなもんだ。
ここの連中に金を用意してもらって国に帰るもよし。
このままここで暮らし続けるのもよし。好きにしたらいい。
サイキョウさんはそう言うと、リリムちゃんの頭から手を離します。
そして続く動きでリリムちゃんから距離を取るように一歩下がり、
そう言いながら小さく笑った後で、
リリムちゃんとそんなやり取りをしてから、その場から忽然と姿を消しました。