サイキョウさんとリリムちゃん、最後の騒動を終わらせる 5
文字数 1,160文字
サイキョウさんの呟きは結構小さな声だったのですが、流石に傍に居るリリムちゃんに届かないはずもなく。
リリムちゃんは刺客からサイキョウさんへと視線を移して、不満げに頬を膨らませながら怒鳴り声でそんな言葉を口にしました。
サイキョウさんはリリムちゃんの言葉に何とも表現しがたい表情を浮かべた後で、少しだけ考えるような間を置いてから口を開きます。
サイキョウさんの言葉に、リリムちゃんは押し黙って視線を地面に下げました。
その様子を見て、刺客の表情が語ります。
サイキョウさんはそんな刺客の表情を見て、それはそれでどうなのよお前と思わなくもありませんでしたが、溜め息を返すだけに留めて視線をリリムちゃんに戻します。
サイキョウさんは黙って俯くリリムちゃんを見ながら考えます。
(さっきまでの発言は、個人的には見てて面白かったんでどうとも思っていないんだが。
一般的にはそうだぞと指摘されて、どういう反応をするのかは見ておきたいところではある。
今後の対応をどうするか、それに影響する部分だからなぁ。
とは言え――)
サイキョウさんはそのまま、リリムちゃんの様子を観察するように眺めていましたが。
リリムちゃんはサイキョウさんから指摘を受けた後、黙ったまま俯いて、ぷるぷると震えているだけでした。
そしてサイキョウさんがそんな風に結論づけて、内心で吐息を吐いてから口を開こうとしたときのことです。
傍に居るサイキョウさんですら聞き取れないほど小さな声で、リリムちゃんが何かを口にしました。
その声は本当に小さくて、普通だったら発言したことにすら気付けないくらいのものでしたが。
サイキョウさんはかろうじて、リリムちゃんが何かを言おうとしていることには気付けたので、
怪訝そうに表情を歪めながら、リリムちゃんにそんな言葉を投げかけました。
サイキョウさんからの問いかけを受けて、しばらくの間は反応がありませんでしたが。
やがて、リリムちゃんはぴたりと身体の震えを止めると、
意を決するように拳を握り、顔を上げて、口を開きます。