サイキョウさん、新しい住居で夜を過ごす 1
文字数 478文字
リリムちゃんが刺客の人に命令を出して眠りについた一方で。
リリムちゃんの前から姿を消したサイキョウさんは何をしていたかと言うと。
リリムちゃんの居る街からいくつも国をまたいだ遠くの土地にある真新しい家の前に立って、そんな言葉を呟いていました。
サイキョウさんが言うあれとは、サイキョウさんとリリムちゃんが出会った翌日に、宿屋の部屋に現れた異形のことであり。
それが果たした仕事というのは、その時に異形が口にしていた――今まさにサイキョウさんが眺めている新しい家を用意することでした。
一息。
サイキョウさんは、人の形から全くと言っていいほど遠い姿をしている割に、妙に人間臭く面倒な性格をしている相手のことを考えてから溜め息を吐くと。
そんな風に結論づけてから、新しい家の扉を開きました。