リリムちゃん、さっそくトラブルに巻き込まれる 1
文字数 1,803文字
そんなこんなで翌日の朝。
上等な寝床でぐっすり眠って――眠りすぎて寝坊するということもなく、無事に起床したリリムちゃん。
しっかりと身支度を整えてから階下にある食事処に向かいます。
そして、先に集合場所で朝食をとっていたサイキョウさんからそんな風に声をかけられました。
個人的には随分と早起きをしたほうだと思っていたリリムちゃん。
密かに、今日こそは先に起きて待っていることになるだろうと思いつつ集合場所に向かっていたのですが、アテが外れて内心で溜息を吐きました。
とは言え、そんなことを正直に口にしたところで仕方がありません。
リリムちゃんの非常に個人的な思惑というか淡い期待だったというだけで、それ以上の意味もなく。リリムちゃん個人としてもそこまでこだわる理由はないのです。
まぁそんなことはわかっていても多少鬱憤は溜まるもので。
そんな些細な鬱憤を晴らすように、リリムちゃんはにやりと笑ってそう言いました。
昨日の別れ際にサイキョウさんから言われた内容が、地味に気になっていたようです。
サイキョウさんはそんなリリムちゃんの心情がわかっているのかいないのか。言われた内容に対して小さく笑みを返すと、止めていた食事を再開しました。
サイキョウさんの淡白な反応にリリムちゃんは思わずむくれてしまいましたが、すぐに表情を戻すと、おはようと小さく返してからサイキョウさんの対面にある椅子に座りました。
リリムちゃんは席につくなりすぐに近づいてきた給仕に二三品注文をしてから、吐息を吐いた後で口を開きます。
サイキョウさんの言葉に、リリムちゃんはふふんと少し得意げな表情を浮かべます。
思ったような反応が得られずに、リリムちゃんは再度むくれ顔を作りましたが、注文した品を給仕が持ってきたのですぐに表情を戻します。
サイキョウさんはリリムちゃんの表情の変化に小さく笑った後で、話を続けます。
リリムちゃんは給仕に料金を払い、礼を言って見送った後で、サイキョウさんに応えます。
サイキョウさんはそう言って、席を立ちます。
そして近くを通った給仕に空いた皿を片付けるようにお願いした後で、
念を押すように同じ内容を口にして、リリムちゃんから当然のようにうざがられたことに溜息を吐いてから宿屋を出ていきました。
リリムちゃんは離れていくサイキョウさんの背中に舌を出して、ふんと鼻を鳴らした後で朝食に手をつけます。
呟くようにそう言ってから、リリムちゃんは朝食を平らげた後で、サイキョウさんと同じように宿屋を出ました。
――そして、その夜。
自分の分の夕食を食べ終えても姿を見せないリリムちゃんの行方を思って、サイキョウさんはそう言いながら溜息を吐きました。