サイキョウさんとリリムちゃん、最後の騒動を終わらせる 4
文字数 672文字
立派な庭園に、刺客のがなり立てるような声が響きます。
刺客の言葉は状況を考えれば至極真っ当な主張だったでしょう。
ただ、その主張が命を奪おうとする側から出てきている時点で、雌雄は決していると言えました。
なぜなら、
リリムちゃんの言葉が示すように――刺客の側に、サイキョウさんを越えてリリムちゃんの命に届きうる手が本当にあるのならば、声をあげる必要などないからです。
確かに、戦闘を有利に進めるためには、手を止めて相手の様子を観察する必要が出てくる場面もあるでしょう。
しかしそれは、刺客である彼がアホな会話と思わず評するほど無防備に会話をしている標的に対して、手を出さずに口を挟む理由にはなりえません。
リリムちゃんの言葉は、正にその通りだったのでしょう。
刺客は、声をあげることもできず、悔しそうな表情で歯噛みしました。
そして、サイキョウさんは突然始まった二人のやり取りをとりあえず黙って見ていたのですが、
リリムちゃんの言葉を肯定しつつも、呆れたような、感心したような声音でそんな言葉を呟くのでした。