サイキョウさんとリリムちゃん、最後の騒動を終わらせる 7

文字数 816文字

 サイキョウさんは笑いながら思います。
(……あー最高。これだからガキってのは面白いわ。

 世話も機嫌取りも面倒だが――土壇場でなかなか見れないものを見せてくれるからたまらない)

 リリムちゃんの発言は、どんなに出来た大人でも呆れ果てて見捨てるかもしれないほどにとんでもない内容だったはずですが。

 サイキョウさんはそんな内容こそを好むようでした。

 要はサイキョウさんも相当な変わり者だという話ですが。

 それは今更の話でしょう。

(つっても、流石にここまで見苦しいのは見たことねえけどな。

 ……あー、もう。笑いすぎて腹いてえ)

 サイキョウさんはそう思いつつも、笑いが収まらないのか、身体を丸めて口元を覆い隠すようにしながら震え続けていました。
 そんなサイキョウさんの態度に、最初こそ怒られたりしなかったと安心した様子を見せていたリリムちゃんでしたが――笑われ続けるというのには流石に我慢が出来なかったようで。
 ――もう、ちょっと! いい加減笑うの止めなさいよ!!

 確かに笑って許せとは言ったけど、いくらなんでも笑いすぎでしょう!?

 そう言いながらサイキョウさんに近づくと、サイキョウさんの丸めた背中をばしばしと叩き始めました。
(……いや、笑ってもらえるてるだけマシじゃねえの?)
 もはや状況の変化についていけなくなった刺客が、リリムちゃんの発言に内心でそんなツッコミを入れていると。
 ――あー、ほんっとに久しぶりにこんな笑ったわ。
 サイキョウさんがそんな言葉を発しながら、纏わりついてくるリリムちゃんの頭を掴みます。
 久しぶりに感じる頭の圧迫感に、リリムちゃんは過去の経験から嫌な予想をしてはっとしましたが、
 ……あ、ちょっと調子に乗ったのは謝るので痛くしn――ふぎゃあああ!
 時既に遅しとでも言うべきか、あるいは案の定とでも言うべきか。

 頭蓋をみしみしと締め上げるサイキョウさんの動きに合わせて、痛みを訴える悲鳴をあげることになるのでした。

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登場人物紹介

サイキョウさん。主人公。

得意なこと:体を使うこと全般
苦手なこと:異性や子どもとのコミュニケーション

一般的な常識を理解した上で、暴力という解決方法を採ることが多かったりする人。悪人でも善人でもない、俺ルールの行使者。

リリムちゃん。小さい姫さん。略してちいひめちゃん。
得意なこと:虚勢を張ること
苦手なこと:体を使うこと

トラブルメーカーそのいち。
遊興すれば襲われる、街を歩けば攫われるといいことなし。
サイキョウさんの理不尽な扱いにもそろそろ慣れてきた。

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