サイキョウさんとリリムちゃん、最後の騒動を終わらせる 6
文字数 961文字
リリムちゃんの口から飛び出した言葉に、サイキョウさんは咄嗟に反応ができませんでした。
傍で聞いていただけの刺客でさえ、ぽかんと口を広げて間抜け面を晒すほどなのですから、発言の内容がどれだけ凄まじいものであるかがわかろうというものです。
ただ、これはこの刺客が抜けているとかそういう話ではなく。
単に、リリムちゃんの発言がそれだけ衝撃的であったというだけのことです。
なにせリリムちゃんの発した言葉は、他人の成果を自分のものだと騙る行為を肯定する内容だったのですから、誰が聞いたとしても驚きで同じような反応を見せたことでしょう。
しかし周囲の驚きを知ったことじゃないと断ずるように、リリムちゃんは言葉を続けます。
あなたの言う通り、全くその言葉の通りよ!
私が生きてるのはあなたのおかげ、こうして今喋れているのもそう!
たまたまあなたが私を気にかけてくれて、助けようという気分になってくれたから、ここにこうして立っていられる!
感情を全て曝け出すように。
全身で思いを表現するように。
体全部を使って、声を張り上げて、リリムちゃんは言葉を続けます。
そして、サイキョウさんを勢いよく指差して、
そんでもって、ちょっと気分が良くなったらそういうことを言っちゃうこともあるでしょうよ!
だって子どもだもん私! 悪くないとは思ってないし反省はしてるけどさ、ちょっとくらい発言内容が頭おかしいところがあっても笑って許すくらいの度量を見せてくださいお願いします!
そう言い切ると、怒られるのを我慢する子どものように、ぎゅっと目を瞑って口を閉じました。
刺客がそんな言葉を思わず呟いてしまう程度には、リリムちゃんの発言は支離滅裂だったと言っていいでしょう。
と言うかきっと、大体の人間がこの言葉を聞けば、本気で言っているのかと正気を疑い、あるいは憤るだろう発言であることは間違いありません。
しかし、その発言の向かう先であるサイキョウさんは。
リリムちゃんの発言が終わった直後こそ驚いたように固まっていたものの――数秒後には大きな笑い声をあげていました。