リリムちゃん、さっそくトラブルに巻き込まれる 3
文字数 1,035文字
そして、リリムちゃんが目覚めたときには。
見覚えの無い場所で、両手を腰の後ろで縛られていました。
周囲の不快な臭いや、その臭いから想像できる不潔な場所に転がすように放置されている自分の扱いなど。
リリムちゃんにとって考えることは多く、尽きることはありません。
しかし、リリムちゃんの口からいの一番に出てきた言葉は自分の身を心配する言葉でもなければ、これからどうなるかという不安を吐露する言葉でもありませんでした。
その叫びはあまりにも大きく。
見張りと思われる誰かがリリムちゃんの居る部屋の扉を開いて現れると、リリムちゃんに向かってそう言いましたが、
リリムちゃんの捕まっている側とはとても思えない威圧感と低い声音に、思わず怖気づいた挙句にそう言って、リリムちゃんの言葉どおりに引っ込みました。
扉が閉まるのを見届けてから、リリムちゃんは溜息を吐いた後で横たわったままの体をなんとか起こして床の上に座ります。
少し叫んで気持ちが落ち着いたリリムちゃんは、冷静になった頭で状況を整理します。
まずは自身の状態を確かめて、女性にとっての最低な行為はされていないことがわかって安堵の吐息を吐くリリムちゃん。
そのまま思考を続けます。
そこまで考えてから、リリムちゃんは小さく自嘲の笑みを浮かべた後で、
……結局彼に頼るしかないんだからどうしようもないわね、私は。
たぶん、最悪の状況になる前に間に合ってくれると思うし。
そうなってもらわないとすごい困るんだけど。
――絶対に嫌味言われるんだろうなぁ、ああやだなぁ……。
そう呟いてから、大きな溜息を吐きながら項垂れました。