第10話:ソニー株売買で大儲けと土地購入へ

文字数 2,490文字

 イタリアン・レストランに入りスパゲッティとピザ、ピスタチオ・ジェラード注文し食べた。子供達は、そのジェラードを食べるのが初めてで、美味しいと言って食べていた。母の米子さんも本格的なチーズのピザは、本当に美味しいねと喜んでくれた。母が、全部は食べきれないと言うと、長男の初男が、僕が食べて上げるといった。そして、残りのピザをちゃっかりもらった。

 佐織も一口ちょうだいと言った、そこで、ナイフで切り分けて、食べさせると、チーズって、臭いけど美味しいねと言い、でも、私は、ジェラードの方が好きねと言ったので、大笑いとなった。そうして、楽しい、温泉旅行を楽しんで、自宅へ帰ってきた。帰って来ると、奥さんは、洗濯物をしますと言って、洗濯機を回し始めた。子供達も、自宅の風呂に入ると、早めに床についた。

やがて12月となり、足早に過ぎたが、ソニー株は、驚くほど値を上げていた。そして、北川天一は、売りどころを考え、悩んでいた。会社が冬休みになった日、証券会社の担当者と話して、これだけ強いのだから、売り時が難しいと言われ、ストップ高を狙うのがベストですと助言された。でも、売買高が多いときに売るべきですとも付け加えた。

 1999年12月30日の大納会の日には、ソニー株の株価は、30300円の買い気配で始まったので、証券会社の担当者に、聞くと、ストップ高だから、成行売りで良いのではと言われ、1993年にソニー株を3730円で買った1万株を成行売りで全株売り出すと、直ぐに売れた。そして税引き後利益が何と、24720万円となった。北川天一の預金が800万円あり、資産合計が25500万円となった。

 しかし、にわかに、信じられなかった。そこで、証券会社の担当者に電話すると、間違いありませんと言われた。やがて、2000年があけて、初詣でに行き、神様に家内安全と、密かに、株の儲けのお礼も祈った。その後、橫浜信用金庫に出勤して、同僚に、もし1億円あったら、土地を買って家を建てるかと聞くと、1990年代の土地バブル崩壊で、橫浜でも大きな農家が自分の土地を売りたがっているが売れないのが現状だと言った。

 性格で詳しい情報が欲しいと考え、入社してから仕事を教えてくれた、現在融資課の課長になった、富松武彦先輩に意見を聞くことにして、今晩ちょっと、ご相談したいことがあるのですが、時間ありますかと聞くと、予定はないと言ってくれた。そこで19時に、一緒に会社を出ることにした。19時に、あって、バスで10分の橫浜駅に着いた。

 そして、何回か言った、居酒屋の一番奥の席に座った。まだ、それ程、混んでいなかった。ビールで乾杯した後、富松課長が相談事って何と聞くので、もし、富松さんが1億円以上得たとして、家を買いますかと聞いた。すると、なんだ、やぶからぼうに、と言った。そうだな、日本の土地バブルがはじけて、未だに売れない土地が残っていると言った。

 さらに、これは、私の見解だがと言い、インターネット株がとんでもない価格になっていて、完全にバブルだと思っていると言った。もし、株のバブルがはじけたら、欲をかいて、信用取引で、インターネット株を大量に買った連中が、売れなくなり、農民は田畑を手放したり、地主は、借金を返すために、安い価格で土地を手放すかもしれない。そうなったら、土地を買いたい者にとっては、千載一遇の好機となると話した。

 そこを狙うのがベストだと言い、橫浜信用金庫でも融資している人の中に、土地を担保に金を借りている人も多い、それらの人が、もし担保を手放すときには、安く買いたたかれるのは、間違いないと言った。でも、これは、あくまでも、僕、個人の勝手な想像だけどねと笑いながら言った。まー、もし、土地を売るという話が出ると、大手銀行、金融機関にいち早く情報が入るのは間違いないと言った。

 この推理が正しいかどうか、少しの間、待ったら良いよと語った。相談事って、それだけかと聞くのでそうでしとと言うと、久しぶりだから、飲もうと言い、生ビールをおかわりした。しかし、しっかり者の北川君は、入社してから、がっちり貯金して貯めただろうと聞くので、えーまーと、曖昧な返事をすると、1千万円以上貯めたのかと聞かれた。

 そこまでは、いってませんと言うと給料とボーナスを貯めることが一番安全確実と言い笑った。そして、22時となり、今日は、私が、富松先輩をお呼びしたので、飲み代は、全部、支払いますと言い、お礼を言って別れた。

 2000年4月18日、富松先輩から北川に電話が入り、今晩ちょっと話があると言われ、19時に、会社の前で待ち合わせ、橫浜駅の以前、行った居酒屋に入った。乾杯して、北川が何かありましたかと聞くと、前回話した、私のシナリオがズバリ当たったよと言い、顔をほころばせた。2000年3月に文藝春秋が光通信の携帯電話売買を巡る不正を報じたことで、同社の株がストップ安、値つかずとなった。

 3月30日の株価が78800円で4月17日、30800円ストップ安で12日間連続、ストップ安だと教えてくれた。ヤフー、ソフトバンク株も同じ様でストップ安の連続だと教えてくれた。まだ続きそうな気がすると言い、橫浜の郊外の農家の家も売りに出るかも知れないと言い、ニヤッと笑った。もし、君が安く、土地を買いたいなら、今がチャンスだと告げた。

 5月に入ると、大手証券会社で信用取引で困っている大勢の人が窓口に相談しに来ていると言う情報が、橫浜信用金庫でも話題となった。大手近郊でも売ってくれないかという相談が多い様で、支店の前に、土地の広さ、場所、価格が数多く掲示されるようになった。そこで、大手金融機関の土地、及び、古家つきの土地の売り物件の情報を昼休み見て回り、メモしてきた。

 すると100坪、古家つき農家住宅が、駅から2キロ、5キロで3000万台から2500万円の出物があった。駅から10キロでは、1500万円と言う物件まで現れたのには驚かされた。小机駅から7キロ120坪、古家つき住宅が3200万円で出ていた。
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