第20話:初男のポートランド小旅行

文字数 2,526文字

 公園の広さは14.8平方キロメートルあり、その長さは約2.5キロに及ぶ。この公園の名前は、 元は高速道路であった場所を壊して、作られたもので、環境に優しく、ウィラメット川西岸の美化と支援に努めた元オレゴン州知事のトム・マッコール氏のちなんでつけられた。公園内にあるサーモン・ストリートスプリングという噴水はコンピュータ管理で街の雰囲気に合わせて水のパターンを変化させられる。

 ポートランドといえば、スイーツ好きにとって絶対に外せない「ブードゥー・ドーナツ」。朝から晩まで大行列で、いつ行ってもお店の外まで、まるでアトラクション待ちの遊園地のように人々が並んでいる。ドーナツのお味は、実際に、初男も食べてみて、クオリティもとても高く、ここ以外では食べられない珍しい個性的な味と、ボリュームもあって病みつきになる美味しさだった。

 次に、ポートランドで、北川初男がブードゥー・ドーナッツの店員に珈琲の旨い店を教えてと聞くと、スタンプトン・コーヒー・ロースターズ と、即座に答えた。今やポートランドはもとより、ニューヨークやロサンゼルスでも人気の珈琲店となっている。その後、ポートランドに1泊するために、安めのホテルを探し、17時にチェックインした。

 その後、お腹が空いてきてホテルのフロントで、安くて旨い店、教えてと聞いた。すると、初男の顔を見て、中国人か日本人かと聞かれ、日本人と答えると、シーフードの旨い店「ジャックリーン」がよいと教えてくれた。17時から19時が「ハッピー・アワー」だから、さらに、お得だから早くべきだと笑いながら話してくれた。それを聞いて、地図まで書いてもらい歩き出した。

 収穫した日に店に届けられるノースウエスト産のぷりっぷりのカキから、肉厚エビのセビーチェまで、新鮮なシーフードが、いっぱい並んでいた。ハッピーアワーだったので、、カキが1ドルであり、生のカキ、エビ、タコの盛り合わせとパンとワインを食べると、実に美味しく、満足できた。またシーフードにマヨネージソース出会えた物をハンバーガーがみたいに挟んだシーブードバーガーはやみつきになる味だった。

 翌日は、サタデーマーケット付近だけしか見られなかった「トム・マッコール・ウォーターフロントパーク」に朝食をとって、朝9時にホテルをチェックアウトして出かけた。到着すると、何人のもの人がジョギングを楽しんでいた。そして、「サーモン ストリート スプリングス」の凝った装飾が施された噴水があり、その近くで水遊びする多くの子供連れの家族がいた。

 この噴水は185もの吹き出し口があって、多くの子供達が一緒に楽しんでいた。この日は、地元アート作品や工芸品などが販売されていた。気持ちが良いので、川沿いを散歩し始め、11時を過ぎると急にお腹が空いてきた。すると、向こうの方にネパール風ギョーザやフィリー サンドイッチを売っている屋台を見つけた。すぐに買いこんで、ベンチに座って、コーラを飲みながら昼食をとった

 その後、トム・マッコール・ウォーターフロント・パークを歩くと像や記念碑が目に入った。中でも、1893年に進水したアメリカ海軍の戦艦「オレゴン」のメインマストが飾られた記念碑。「日系アメリカ人史跡公園」もあった。ここは、第二次世界大戦中にアメリカの捕虜収容所に収容された日系人を追悼する公園だそうです。それを見ると、以前、テレビのドキュメンタリー番組で日系人捕虜のひどい収容所の映像が頭に浮かんだ。

 ちょっと、センチな気持ちになり、バスとトラムに乗って、ポートランド空港へ向かった。14時に到着して15時半過ぎの飛行機のチケットを買い、搭乗手続きを取って、1時間ちょいでバンクーバー空港に着陸した。その後、ホームステイの家に戻って、ポートランドの小旅行と旨いシーフード、珈琲屋、サタデーマーケットなどの話をした。意外に簡単に理解してくれ、少し英語が上手になった気がした。

 その後も、英語漬けの毎日が続き、なんとかついて行けるようになり、彼らの話していることの80%は、理解できるようになったが、初男が中学、高校で習った英語の発音と少し違っているのを聞くと、 カナダの西部は、イギリスからの移民が多かったので、最初はクーンズイングリッシュで、きれいな英語だったが、アメリカが近く、アメリカン・イングリッシュの影響を受け出しかのかも知れないと言った。

 しかし、東海岸のトロント、モントリオールに行くと、フランス人入植者が多かったから、もっとフランスなまりというか、バンクーバーより、もっとなまりの多い英語だと教えてくれた。アメリカの南部はもっと、ひどい英語だと言い、笑い出した。留学も3週目に入ると、個人のディスカッションから、チーム同士のディスかションになり、自分の意見を強く主張できるかと言う練習となった。

 ここまで来ると、日本人以外は、最初に強く人の言いたいこと、主義、主張を前面に押し出して、自分の正当性を主張してくる。それに対して、自分達、日本人は、どうしても、押しが弱く、なぜそうなったかと言うことに固執する感じがして、激論を戦わしても、迫力が出ないうちに、論破されるというケースが増えてきて、初男は、困った。

 すると、仲良くなったドイツ人のブラウンがショット・アウトしろといった。つまり、討論とは、決闘、一騎打ち、果たし合いと同じだと思えと助言してくれた。つまり勝つか負けるか、自分の主義、主張を通せるかどうか。欧米では、多くの人種がいて、常に、言葉の戦いの日々というのは、当たり前だと言い、日本人は、単一民族だから、討論負けるのではないかと話してくれた。

最終週の土日、バンクーバーからシアトルへ、列車の旅をしようと、10日前にチケットを10%学割で予約した。そして、ついに最後の休みとなった、3週目の土曜日、朝7時に出て、バンクーバー駅に7時半到着し、8時38分発の列車を待ち乗り込んだ。バンクーバー駅で乗車手続きとともに、出国手続きを行った。列車は全席指定席ですが、切符を購入するときには席は決まってなかった。
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