第20話 英国新首相の就任挨拶:2022年8月

文字数 1,469文字

(新しい英国の首相が、選出され、就任挨拶をした)

2022年8月。イギリス。ロンドン。国会議事堂。

キャサリン・オースティン英国首相が就任挨拶を始めた。

「新しく英国の首相に着きましたキャサリン・オースティンです。これから、私の政治信念について、お話させて頂きます。

イングランドとスコットランドは、1707年にグレートブリテン王国を形成しました。この結びつきは、300年を超える長いものです。1801年、グレートブリテン王国はアイルランド王国と政治連合を結び、グレートブリテン及びアイルランド連合王国になります。1922年、つまり、ちょうど、100年前に、アイルランド自由国は連合王国から脱退して、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国になります。1999年には、スコットランド議会が設立され、現在では、スコットランドは一部の自治を行っています。
英国は、EUから離脱を決めて現在にいたっています。その時の意思決定については、いくつかの問題があったと指摘されています。

以上のような、脱退、離脱、連合には、慎重な意思決定が必要です。この種の意思決定は、一度行った場合、その後20年くらいは、変更が効きません。つまり、現状だけでなく、20年以上先の将来も考えて意思決定する必要があります。

そこで、まず、離脱ありきという論理にならないように、メリット、デメリットを詳細に検討する必要があります。更に、1999年にスコットランド議会ができたように、選択は、連合と分離に2分されている訳ではなく、連合する事項と分離する事項を個別に選ぶこともできます。残念ながら、EU離脱の際には、この部分的な分離はできませんでした。しかし、英国の将来は、英国国民の皆様が選択できます。
私は、スコットランドの独立のために、今まで、政治活動を行ってきました。だからといって、私は、無条件にスコットランドを独立させるべきである、と考えている訳ではありません。今回は、後で後悔することの無いように、あるべき英国とスコットランドの関係を検討できればよいと願っています。

また、私は、英国首相としては、久しぶりの女性首相になりました。その間に、英国や世界のジェンダー観も大きく変化しています。これまでの制度には、時代にそぐわなくなっているものも多数見られます。こうしたジェンダー問題の改善にも取り組みたいと考えています」

ブレグジットの後、イギリスは混乱が続いていたが、コロナウイルスの感染拡大で、イギリスとEUは、休戦状態にあった。しかし、ワクチン接種が、功を奏して、コロナウイルスの拡大が、止まってくると、休戦も解除に向かってきた。この問題は、イギリス対EUの問題であるばかりか、イギリス国内の問題でもあった。北アイルランドは、手が付けられない状態であった。当面の最大のブレグジット影響の課題は、グレートブリテン島が分裂しないように各地方を留めておくことだった。最大の課題は、スコットランドだった。スコットランドが、独立しないようするためには、譲歩も止むを得ないという雰囲気が、保守党の中に広まっていった。しかし、事態は、逆向きに動いていた。スコットランドの独立の気運は強まるばかりだったのである。こうした状況で、保守党は、賭けに出た。スコットランド独立党を飲み込んでしまうことを計画したのである。こうして、保守党は、スコットランド独立党を飲み込む代わりの条件に、スコットランドの独立党の党首が、保守党の党首につくことになった。こうしてキャサリン・オースティン英国首相が誕生した。
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