第34話 人権侵害に対する報復関税:2023年3月

文字数 1,098文字

(米国大統領が、人権侵害に対する報復関税政策の大統領令を発表した)

2023年3月。米国。ワシントンDC。ホワイトハウス。記者会見室。

「これから、新しい人権外交政策について、フリーダム大統領が、説明します」
補佐官が告げた。フリーダム大統領が話を始めた。
「皆さん、おはようございます。これから、新しい人権政策を説明します。
2013年に始まったBLM(Black Lives Matter)は、2020年に大きな拡がりを見せ、多くのアメリカ合衆国の国民が感心を寄せています。しかし、どれだけ、実効のある進展があったかと言えば、疑問を呈さざるをえません。また、ここ20年の間に、世界の民主主義は縮小に追い込まれ、独裁政権や、非民主的な政権によって、人権がないがしろにされる例が後を断ちません。アメリカ合衆国は、アメリカ合衆国が範を見せて、『人権を守ることが、経済発展に有効である』ことが理解されれば、『人権侵害は次第に減っていくであろう』という政策を進めてきました。つまり、人権問題がある国に対しても、『友好的な外交を進めることで、人権問題の解消は進む』であろうという政策です。しかし、過去10年の間に、世界の国で起こったことを冷静に眺めてみれば、この友好的な外交政策には、効果がなく、人権侵害は拡大してきたことがわかります。この状況を考えれば、これまでの人権に対する外交政策は失敗であって、今こそ、外交政策を転換すべき時と思われます。
新しい外交政策は、人権侵害し対しては、力で、対抗することになります。注意しなければならないことは、これは、人権侵害の問題であって、イデオロギー問題ではないことです。つまり、イデオロギーによって、外交政策がゆがめられないように注意する必要があります。これは、人権侵害をイデオロギーで、隠している国が多いので、それに対する対策であります。BLMでは、黒人に対する人種別が問題にされましたが、それ以外の差別も多くあります。少数民族、女性、LGBTQ、年齢などによる差別もあります。これらの、人権侵害を世界から排除するために、出来るだけ有効な外交の力を使うべきです。
以上です」
「これから、質問を受け付けます」補佐官が言った。
最初に挙手した人を、補佐官が指名した。
「力による外交とは、実際には、どのような力を使うのでしょうか」
「最終的な力とは、武力ですが、ステップとしては、その前に、輸入課税や、取引停止などの経済制裁を、今まで使っています」
次に指名されたのは、女性記者だった。
「具体的な外交政策は、いつ頃から、始められるのでしょうか」
「人権侵害のリストの中で、手を付けやすいも
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