第33話 アメリカ大統領の死 :2023年2月

文字数 726文字

(アメリカ大統領が、亡くなった)
2023年2月。朝7時30分。アメリカ合衆国。ワシントン。ホワイトハウス。

「フリーダム副大統領から、重大な発表があります」
補佐官が告げた。
フリーダム副大統領が、重い声で、口を開いた。
「お知らせします。今朝、6時20分に、タイソン大統領がお亡くなりました。死因は、転倒による脳挫傷です。医師団は懸命の救命措置を試みましたが、成功しませんでした。心より、ご冥福をお祈り申し上げます
しばらく、沈黙が続いた。
「大変、急なことで、私もショックを受けています。なんと申し上げて良いのか、言葉もありません。
タイソン大統領は、就任して1年、公約に挙げた政策のひとつひとつが軌道に乗り、これから成果が出る段階でした。さぞかし、無念であったと思います。私も、この一年、タイソン大統領と一緒に、執務させて頂き、タイソン大統領の実行力、決断力には、深い感銘を受けてきました。タイソン大統領を失ったことは、アメリカ合衆国にとって、非常に大きな損失です。国民の皆様から、これほど深い信頼と敬愛を受けた大統領は、近年、いませんでした。
最後に黙祷をして、記者会見を終わります」
フリーダム副大統領が短い黙祷を捧げた。
「以上で、フリーダム副大統領の記者会見を終わります。この後、医師団から、転倒事故の状況と救命処置についての説明があります。今後の日程については、正午の記者会見でお伝えします」
補佐官が述べた。
憲法の規定により、大統領が、執務を執行できない場合には、副大統領が、執務を代行することになっていた。また、大統領が死亡した場合、副大統領が、大統領に昇格する規定だった。
大統領に昇格した、副大統領のエリザベス・フリーダムは、マイノリティの女性だった。
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