第50話 ジェンダー差別原因究明レポート:2023年7月

文字数 945文字

(ジェンダー差別原因究明レポートが発表された)

2023年7月。クラウド上。ユニバーサル・ジェンダー計画事務局。

ジェンダー差別原因究明レポートの第1巻が、公開された。このレポートは、女性優先枠を設定しても、その効果が出ない隠れた原因を分析している。ここで取り上げられた隠れた原因は、次の2つである。
第1は、女性優先枠を無効にするフィルターがかけられている場合である。この場合には、女性優先枠が埋まらない状況が見られる。どのようなフィルターがかけられているかは、ケースバイケースである。具体的には、転勤出来るなどの条件をつけられる。
第2は、代替率が低い場合である。この場合には、女性優先枠が設定されても人の入替が起こらないので、女性比率が上昇しない。この場合には、代替率をチェックする。
以上の2つの場合には、女性比率の上昇が見られない。しかし、女性比率で評価するより、女性優先枠の充足率と代替率を評価する方法が、結果が出る前に判断できる点で優れている。
ところで、問題が生じた場合、原因を取り除けば、問題解決が図れる。そう考えると、原因の特定は、重要な作業である。
原因の特定には3つのアプローチがある。
第1は、統計的な因果律を追求する方法である。
第2は、問題となる状況作り出した個人を特定する方法である。刑法における犯人探しに相当する。
第3は、問題となる状況を作り出したシステムを特定する方法である。これは、飛行機の墜落事故で用いられる方法である。仮に、パイロットの操作ミスで墜落したとしても、問題は、誤操作をしたパイロットにあるのではなく、誤操作を起こしやすい、飛行機の操縦システムに問題があったとする。

ジェンダー差別原因究明レポートで隠れた原因としてあげているものは、第3のタイプに相当する。この場合には、原因を作っている犯人が特定されないので、放置すれば、隠れた原因は、取り除かれない。その結果、女性優先枠が効果を発揮しない状態が継続する。例えば、今まで、非ジョブ型雇用は、女性優先枠の効果を阻害する隠れた原因であると説明してきた。この原因も、第3のタイプに相当する。つまり、問題は、非ジョブ型雇用というシステムにある。この場合には、放置して雇用システムを交換しなければ、問題は解決しない。

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