第94話 鈴木太郎の推薦状:2024年1月

文字数 729文字

(鈴木太郎をタスクフォースに推薦してもらう)

2024年1月。東京。鈴木家。
最高裁の判断が出たころには、T商事のゼロリセット計画は、日本中の注目を集めるようになっていた。何しろ、ゼロリセット計画では、前例のない急速な組織改変を行うのである。現実に、そのようなことが可能であるのか、もし、うまくいけば、わが社でも、検討したいと思っている企業も多数あった。
政府としても、T商事のゼロリセット計画が成功すれば、日本経済復活の道筋が1つ出来る訳であるから、成り行きに注目していた。
そうした中で、タスクフォースがいよいよ結成されるという話が流れてきた。この話を聞いて、鈴木太郎は、いてもたってもいられなくなった。自分が、あそこまで、努力したにもかかわらず、退社の原因となった、システムの統合が組織の改変によって、実現するかもしれないと思うと、放っては置けない。鈴木は、できれば、タスクフォースに参加したいと思った。今は、落選したばかりで、格段、仕事に就いているわけではない。鈴木のほうからすれば、タスクフォースに参加する障害はない。そうはいっても、現在の鈴木は、T商事からすれば、単なる一人の部外者にすぎなかった。
出来るかどうか分からないが、ダメ元で頼んでみよう。鈴木は、タスクフォースへの就職活動をすることにした。T商事に意向を伝えてみよう。それから、南山首相にも、推薦してもらおう。
後日、運よく、鈴木は、タスクフォースに採用された。これは、洋子の推薦が効いたというよりも、佐々波の推薦が功を奏した為らしい。佐々波は、常々、鈴木の仕事の進め方に敬服していた。このため、鈴木の名前が出た時点で、鈴木が、如何にタスクフォースに向いた人材であるかを、丁寧に説明したのである。
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