第三十一話、ピクニック
文字数 1,162文字
山の中腹に一軒の家が建っていた。三百年ほど前にたてられた元は貴族の別荘であった。そこに行くまでの道の名残はあったが、歳月と共に木々に覆われていた。
塀や門などは無く、二階建ての、どっしりとした古びた家が見えた。
イーサンは手に持ったコインを指でさすりながら言った。魔力に反応するコインである。
山の所有者はどう調べてもわからなかった。税金だけはしっかり振り込まれているため、誰かが居ることだけは間違いなかった。山に入って調べてみると、強い魔力の反応があり、半径一キロ程度の人よけの結界が張ってあることがわかった。
不安や恐れ、嫌悪感を感じる場所を通った。
パメラ・モートンが額の汗をぬぐいながら言った。
パメラは後ろを振り返った。
二十人ほど、荷物を背にしょっている男達と農耕馬が二頭居た。
オーガスとは、別の吸血鬼を退治する際協力しあった。
顔をそらした。吸血鬼に襲われた事件のおかげでオーガスが所属している組織は著しく弱体化していた。その上、地元の警察には、ばっちり目を付けられていた。
エドワードはイーサンを見た。イーサンは空を見上げていた。
イーサンは背負い袋の中からワインボトルを取りだした。
ポーラは屋敷の地下にいた。イーサン達の行動を使い魔を通じて見ていた。
わざわざこんな山奥に、二十人もの人間が、二頭の馬と一緒に荷物を持って近づいてくる。
イーサン達が食事の準備を始める様子を見ながら、首をかしげた。
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