第十一話、目覚め
文字数 1,155文字
音がした。
蠅の群れが耳の穴で暴れ回るような、耳障りな音が繰り返し聞こえた。
エドワードは辺りを見渡した。耳障りな甲高い音がした。
イーサンは、何かを探すように懐中電灯で辺りを照らした。
イーサンは懐中電灯の光を鏡に当てそらした。それを何度か繰り返した。
玄関の近くの壁に姿見の鏡が立てかけられていた。
エドワードは懐中電灯で辺りを照らした。照らされた部分は明るく、廊下の曲がり角には暗闇が広がっていた。
ざわりと、うなじが総毛立った。
ジェフリー・グレンは背中から引きずり込まれるような眠気を感じながらも、起き上がった。地下室、ベットの上、暗闇の中、よく見えた。
耳をすませた。人の歩く音、何かが割れる音がした。警報装置の音が消えた。
最悪の事態だった。鏡に仕掛けられた警報装置を見つけ出し壊すということは、それ相応の知識と目的を持っているということだ。つまり、侵入者は、ジェフリー・グレンが吸血鬼であることを知っており、昼間寝ているジェフリー・グレンを殺しに来た人間であるということになる。
体は重く、日差し一つ無いというのに肌がひりつくような感覚があった。
地下室の角に排水口がある。そこに、人一人這い出るぐらいの穴があり、降りると下水溝へ繋がっている。
服を着替え、下水構内の地図などが入ったバックを手に、排水溝のふたを開け、狭い穴に潜り込んだ。二メートルほど下に降りると横穴があった。体を曲げ横穴に入り、しばらく進むと下水溝へと出る穴があるはずだった。
穴が鉄板でふさがれていた。
一体誰が、少しパニックになりながら、ジェフリー・グレンは鉄板を押したがびくともしなかった。
鉄板の向こうから声が聞こえた。
こんなところにまで手を回しているのか。
笑い声を上げた。
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