第4話

文字数 752文字

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悪竜闇星(ヴァルゴン・ウステル)が見つかった?」ユウリは声を張り上げた。教壇にはメイサの姿があり、泰然とした佇まいを見せている。
 フィアナの打ち明け話の翌日だった。登校したユウリが着席し、他の者もすべて揃った後にメイサが入ってきて話し始めた。内容は、神話時代の悪竜(ヴァルゴン)の本拠地である悪竜闇星(ヴァルゴン・ウステル)が発見されたというものだった。
「そうだ。君も経験した神代の戦の舞台となった星だ。私たちはただちに軍備を整え、今日の午後から乗り込む。先手必勝という奴だ」
 メイサは可憐な瞳でユウリを見据えつつ、朗々と語った。ユウリはごくりと唾を飲み込む。
「『俺も行くのかな?』とでも聞きたげな顔だな、ユウリ君。本当に心を読みやすい男だよ、君は」
 おどけた調子のメイサの言葉に、ユウリは気恥ずかしい気持ちになる。
「遺憾ながら君は留守番だ。フィアナやシャウアも同様。参加者はエデリアとルミラリアの手練、合計二十名。少数精鋭で叩きのめす所存だ。ちなみに、私も出る」
 高らかに言い放ち、メイサは小さな両手を華奢な腰に当てた。あまりにも知性を感じさせる眼差しを除けば、おすましする童女のような佇まいである。
「勘違いはするなよ。無論、最も大きな危険に晒されるのは私たち侵攻部隊だ。だが、隙を突いて悪竜(ヴァルゴン)どもが聖都を襲ってこないとも限らない。その場合は生徒諸君は勇壮に戦い、力なき者たちを守るんだ。
 なぁに、心配する必要はない。先日のファルヴォス襲撃事件の反省を生かして、リスク低減のための策をあれこれ準備してある。……あのような痛ましい犠牲は、二度と出したくはないからな」
 ルカの件に話が至ると、メイサの声音は一転、静かなものになった。ユウリは思い出してしまい、改めて気落ちする。
「私の話は以上だ」と締めて、メイサはゆっくりとした足取りで教室を出て行った。
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