第13話

文字数 622文字

       13

(ユウリが来てくれた! もう大丈夫だ! 後は勝つだけ! 勝ってみんなの元に帰るだけだ!)
 フィアナの口元が綻んだ。頼れる味方の登場が嬉しく、今ならどんな敵にでも勝てそうな気がしていた。
 一体が火球を吐いてきた。フィアナは子ユリシスを右の爪先に集めると同時、翼に残した分で神気(ルークス)を反射させる。
 その場で一回転し、びしりと蹴った。爪先を火球にぶつけて消滅させる。
 間髪入れずにもう一体が突進してきた。フィアナはひらりと跳んで躱し、二度羽ばたいてさらに舞い上がる。
(今回は反射もバッチリ! これで一掃!)確信したフィアナは小さく息を吸い込み、「鏡蝶弾(ミラルガン)!」。力強く叫んで、蝶翼から白球を射出する。
 神気(ルークス)の弾丸は、空気を切り裂いて飛んでいく。地上の悪竜(ヴァルゴン)たちは次々と撃ち抜かれ、絶命する。
 視界の端に悪竜(ヴァルゴン)が入った。滑空して襲ってくるが、フィアナはとっさに向き直った。子ユリシスで障壁を作り、悪竜(ヴァルゴン)の突進をストップする。
 すかさず左手に槍を生み出し、障壁越しに突く。刺突は眉間に命中し、悪竜(ヴァルゴン)はがくりと頭を垂れた。すぐに降下し、ドサリと地面に落下する。
(うん、やればできるよ、私! ユウリより強いかは微妙だけど、お荷物なんかには絶対にならないんだから!)
 フィアナは次の敵に目をやりつつ、強かな思考を巡らせていた。
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