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文字数 499文字
ばあちゃんが死んだら、どうなるんだろう。喪主は完二伯父さんがやると申し出ていた。それぞれに遺産が分配されて、それで終わり。美佐子は悲しむだろうけど、あとのみんなはその場だけ涙を流して、葬式が終わればあっけらかんとしてるだろう。一番心配なのは、ミツ子さんだ。今度はミツ子さんが倒れるかもしれない。だけども、彼女と死んだ長男の寛一さんの間に子供はない。阿部家で一番異質な存在が病気になったら、ちゃんと面倒を看る人間は出てくるのだろうか。大体、ばあちゃんの世話をさせといて、本人が倒れたらそのままなんてことは、人としてどうかと思う。色々思うところは各自あるだろうと、理解はできているつもりでも、やはり冷たすぎる気がする。
ばあちゃんというピースは、もう施設に預けられたときから欠けていた。阿部家の人間は、欠けた部分を補いながら、新しいパズルを作り出した。もう、ばあちゃんの居場所は阿部家にない。ミツ子さんはパズルのピースにすらなっていない。初めから阿部家に当てはまらない欠片だ。ばあちゃんが死んだら。ミツ子さんは怯えているのかもしれない。すでに七十五になった女性が、次に行く場所なんて用意されていない。
ばあちゃんというピースは、もう施設に預けられたときから欠けていた。阿部家の人間は、欠けた部分を補いながら、新しいパズルを作り出した。もう、ばあちゃんの居場所は阿部家にない。ミツ子さんはパズルのピースにすらなっていない。初めから阿部家に当てはまらない欠片だ。ばあちゃんが死んだら。ミツ子さんは怯えているのかもしれない。すでに七十五になった女性が、次に行く場所なんて用意されていない。