第22話
文字数 1,322文字
仁は猛ダッシュで階段を駆け下りて裏庭まで行くと息を整えた。金髪男と喋っている春花は笑顔である。嫉妬のあまり金髪男をぶん殴りたい衝動にかられたが【落ち着け】と自身に言い聞かせて歩を進めた。
余裕の笑顔をつくりながらも春花の意識を金髪男から一刻も早くこちらに向けさせたくて「春花!」と呼びかけた。それに反応した春花、天使、夏苗が一斉に仁のほうへ視線を向けた。
「仁くん。どうしたの?小林くんは?」
正面から歩いてくる仁に春花が不思議そうな口調で問いかけた。天使はいきなり現れた長身イケメンに唖然としていた。
「え?なに?春花の彼氏?彼氏いないって言ってなかったっけ?」
動揺する天使に仁は笑顔を向けながら【すでに呼び捨てかよ】と内心腸が煮えくりかえっていた。
春花が「違うよ。友達だよ」と答えるなり天使は頬を緩めた。
「よかったぁ。つか、彼氏はいないんだよね!?」
「いないよ」
「つか夏苗も彼氏いないんだよな?2人とも可愛いのに信じらんねーって!」
夏苗は苺の紙パックジュースのストローを吸いながら含み笑いをし、天使に視線を向けた。弁当を食べ終えてすぐに声をかけてきた天使は明らかに春花狙いではあるが、あからさまに春花を口説く訳ではなく、夏苗にも平等に話を振る。優しい目をしており、夏苗とも仲良くしようと本気で思っているのが伝わって来るような憎めないヤツである。気の毒に思えるほど一生懸命によくしゃべり、そこそこ面白いことも言うので、一緒にいてそれなりに楽しい。春花が天使と付き合うと言うなら反対はしない。しかし春花から聞いている話では仁は小学5年生のときからの付き合いで、毎日一緒に夕食を作って食べるまでの仲である上に間違いなく仁もずっと春花にアピールをし続けている。
【おもしろくなって参りました】夏苗は緩む頬を抑えながら天使VS仁を見物した。
天使は立ち上がると仁に右手を差し出した。
「俺、天使。つか、めっちゃイケメンじゃね?」
仁も笑顔のポーカーフェイスを崩さないまま右手を差し出し握手をした。
「俺は仁。春花の幼なじみだ」
「彼女は?」
「いないよ」
「マジで?めっちゃイケメンなのに?もしかして春花のこと好きだったりする?」
仁は『当然』と答えたかったがグッと堪えた。春花は最近になってようやく仁の気持ちに気付き始めていた。しかしフラれる可能性が高いことは仁自身も分かっている。今、春花の目の前で恋の宣戦布告をして勝手に争ったところで春花が振り向くことなど100% あり得ないし、むしろ生きがいである付きまといすら出来なくなる可能性がある。仁は話題を変えることにした。
「ていうかピアス格好いいね。痛くないの?」
大好きなファッションを褒められたことに気を良くした天使は顔をほころばせて嬉しそうに答えた。
「痛いのは最初だけで耳のは1年以上前にあけたやつだから痛くねーよ。鼻のは退院前にあけたばっかだからちょっとまだ痛ぇけど」そう言う天使の鼻ピアスの周りはよく見ると少し腫れていた。
仁は天使の言動から、彼が素直で単純で気のいい奴だということを知った。人としては嫌いではないタイプである。しかし春花からは離れてもらわなくては困る仁は策を実行することにした。
余裕の笑顔をつくりながらも春花の意識を金髪男から一刻も早くこちらに向けさせたくて「春花!」と呼びかけた。それに反応した春花、天使、夏苗が一斉に仁のほうへ視線を向けた。
「仁くん。どうしたの?小林くんは?」
正面から歩いてくる仁に春花が不思議そうな口調で問いかけた。天使はいきなり現れた長身イケメンに唖然としていた。
「え?なに?春花の彼氏?彼氏いないって言ってなかったっけ?」
動揺する天使に仁は笑顔を向けながら【すでに呼び捨てかよ】と内心腸が煮えくりかえっていた。
春花が「違うよ。友達だよ」と答えるなり天使は頬を緩めた。
「よかったぁ。つか、彼氏はいないんだよね!?」
「いないよ」
「つか夏苗も彼氏いないんだよな?2人とも可愛いのに信じらんねーって!」
夏苗は苺の紙パックジュースのストローを吸いながら含み笑いをし、天使に視線を向けた。弁当を食べ終えてすぐに声をかけてきた天使は明らかに春花狙いではあるが、あからさまに春花を口説く訳ではなく、夏苗にも平等に話を振る。優しい目をしており、夏苗とも仲良くしようと本気で思っているのが伝わって来るような憎めないヤツである。気の毒に思えるほど一生懸命によくしゃべり、そこそこ面白いことも言うので、一緒にいてそれなりに楽しい。春花が天使と付き合うと言うなら反対はしない。しかし春花から聞いている話では仁は小学5年生のときからの付き合いで、毎日一緒に夕食を作って食べるまでの仲である上に間違いなく仁もずっと春花にアピールをし続けている。
【おもしろくなって参りました】夏苗は緩む頬を抑えながら天使VS仁を見物した。
天使は立ち上がると仁に右手を差し出した。
「俺、天使。つか、めっちゃイケメンじゃね?」
仁も笑顔のポーカーフェイスを崩さないまま右手を差し出し握手をした。
「俺は仁。春花の幼なじみだ」
「彼女は?」
「いないよ」
「マジで?めっちゃイケメンなのに?もしかして春花のこと好きだったりする?」
仁は『当然』と答えたかったがグッと堪えた。春花は最近になってようやく仁の気持ちに気付き始めていた。しかしフラれる可能性が高いことは仁自身も分かっている。今、春花の目の前で恋の宣戦布告をして勝手に争ったところで春花が振り向くことなど100% あり得ないし、むしろ生きがいである付きまといすら出来なくなる可能性がある。仁は話題を変えることにした。
「ていうかピアス格好いいね。痛くないの?」
大好きなファッションを褒められたことに気を良くした天使は顔をほころばせて嬉しそうに答えた。
「痛いのは最初だけで耳のは1年以上前にあけたやつだから痛くねーよ。鼻のは退院前にあけたばっかだからちょっとまだ痛ぇけど」そう言う天使の鼻ピアスの周りはよく見ると少し腫れていた。
仁は天使の言動から、彼が素直で単純で気のいい奴だということを知った。人としては嫌いではないタイプである。しかし春花からは離れてもらわなくては困る仁は策を実行することにした。