【借りパク】【選別】【コンサート】

文字数 1,077文字

課題は、疑り深い登場人物をいれてください。

「どうしたの、ひろ子? なんか機嫌良くない?」
「わかる? 明日クラシックのコンサート行くんだ」
「へー、誰と?」
「え? 一人だけど?」
「ひろ子、それは寂しいよ。そういうのは彼氏とか作って一緒に行くもんじゃない?」
「由貴、そういう言い方やめて! 私だって作りたくなくて作らないんじゃないから」
「ゴメン、でもね、私心配なんだ。ひろ子って顔も中の下くらいだし、顔も中の下くらいだし、顔も中の下くらいじゃない、友達としてほっとけないじゃない」
「絶対心配してないじゃん! 何で同じこと三回も言うのよ! せめて二回にしてよ!」
「ただの冗談じゃない。すぐキレるのは良くないよ。そういうとこよ」
「いいもん、私は趣味に生きるの」
「そうやってすぐにヤケになるのはダメだって。そういうとこよ」
「でも、趣味を通じて出会いがあるかもじゃない?」
「んー、そうかもね。ねぇ、それって会場どこ?」
「ちょっと待って、バッグにパンフあるから」
 そう言って、ひろ子はバッグの中をさばくる。
「って汚な! ひろ子のバッグの中カオスじゃん! ちゃんと選別しなよ! 何でアイライナーやマスカラと一緒に耳かき入れてるの? 女子力ゼロじゃん! そういうとこよ」
「別にいいじゃん、自分で使うんだから」
「待って待って、なんでコンビニお手拭きいっぱい入ってるの? 絶対もうカピカピで使えないじゃん! そういうとこよ」
「うるさい! 何かの役に立つかもしれないでしょ!」
「使いもしないものでバッグぱんぱんにしてたら、そっちの方が面倒よ。絶対ひろ子って大人になったらホテルのアメニティを大事に持ち帰るタイプね。そういうとこよ」
「いいでしょ! 由貴には迷惑かけてないんだから」
「ねぇ、ひろ子、それ私のハンカチじゃない? って、その消しゴムも私のよね? 借りパクしまくってんじゃん。そういうとこよ」
「ちょっと返すの忘れてただけでしょ。あれ? チケットがない!」
「埋もれてるだけじゃない?」
「どこにもないんだって! ってか、由貴が持ってたりしない?」
「何で、私が持ってるのよ」
「そうやって否定するところが怪しいわ」
「肯定したら余計ダメじゃん」
「そうだけど、由貴がコンサートのこと聞いてきた後になくなるなんて、タイミング的に怪しいじゃない。私が疑うのも無理ないんじゃない?」
「何その謎理論? そういうとこよ。って、チケットはどこで買ったの?」
「ネットだけど」
「メール確認した?」
 ひろ子はメールを確認して、気まずそうに上目遣いで由貴を見て言った。
「eチケットだった」

「そういうとこよ」
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