【昼】【終末】【見えない遊び】

文字数 655文字

課題は、ジャンルは「学園モノ」

 もうすぐ卒業式。卒業してしまえば、もうエリカに会うことはなくなってしまうだろう。だから、その前に何としてでもこの気持ちを伝えなければ。そんな思いで、昼休みにエリカに声をかけた。当然教室には多くのクラスメイトが残っている。だけど、そんなことはどうでもいい。玉砕して恥をかいたところで、卒業してしまえばみんな散り散りだ。

「エリカ、好きだ!」

 クラス中の視線が集まるのを感じた。エリカは動じることなく、微笑みながら口を開けた。
「『好き』以外で言ってみて」
「愛してる!」
「ごめん、『愛してる』もダメ」
「エリカに恋してる!」
「恋と愛の違いは結構曖昧だからそれもナシで」
「I love you!」
「『愛してる』を単純に英語に変えただけなので認めません」
「I need you!」
「一旦英語から離れようか」
「月が綺麗ですね」
「それはキミの言葉じゃなくて夏目漱石よね」
「14106」
「何でポケベルの符牒なんて知ってるのよ。今のコ達に通じないから禁止」

 エリカは明らかに、このやりとりを楽しんでいる。周りの皆んなもそうだろう。この終わりの見えない遊びの行方を面白そうに見守っている。

 こうなったら一か八かの賭けに出るしかない。愛に言葉はいらないと言わんばかりにわエリカを抱きしめた。

「何すんのよ!」そう言ってエリカは思いっきりビンタした。
 悲惨な終末に教室が爆笑の渦に包まれた。

 派手に振られて意気消沈していると、エリカが笑顔を見せて続ける。

「OKって意味だから、それ」

 ビンタにそんな意味ある?
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