【誘怪】【白いブラウス】【魔女】

文字数 735文字

課題:ひらがなの「へ」使用禁止

「ある少女がメリーさんという古い人形を捨てた。そしたら『あたしメリーさん、今ゴミ捨て場にいるよ』って電話がかかってきたんだ」
「待て待て、それメリーさんの電話だろ。そんなベタな話怖くねぇよ」
「ならお前はもっと怖い怪談知ってんのかよ」
「ああ、ことの始まりは三ヶ月前だ」
「お前の実体験か?」
「ああ、ある日高校の同級生を名乗る女から電話があったんだ。向こうは俺を友達だというんだが俺は口を聞いたこともない」
「それでどうしたんだ?」
「もう夜中だったんだが、今から会えないかと言われて近所のファミレスで会った。だが今は後悔している。あの女と会っちゃいけなかったんだ」
「どういうことだ?」
「それからというもの、俺は家にいると自由に動けなくなったんだ」
「マジかよ。金縛りか?」
「そういうことじゃないけど、まぁそれはいい。あの女は白いブラウスに身を包んで天使のような笑顔を見せたが、それは魔女の微笑みだったんだ」
「呪いってことか?」
「違う。お互い近況報告して将来の夢を語ったよ。でも話の途中で俺はなんだかヤバい雰囲気を感じて帰ろうとしたんだ」
「間に合わなかったってことか?」
「ああ、その途端ガラの悪いツレらしき男に退路を塞がれた」
「なんか思っていた展開と違うな」
「そこから俺は女のいいなりさ。次々と送られてくる商品を友人に売って、友人も同じように勧誘して仲間に引き入れれば、黄金会員やら白金会員やら金剛石会員になって働かなくてもよくなるって口車にのっちまった」
「家で自由に動けないってのはまさか、……」
「売れないもんだから在庫の商品で家の中はパンパンさ」
「一応怪談のタイトルを聞こうか」
目的隠匿型(ブラインド)勧誘怪談。お前も会員にならないか?」
「リアルに怖い話やめて」
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