第27話
文字数 1,395文字
「みーちゃん食べれないのあったっけ?」
美鈴はこの近くに食べ物屋は殆どなかったように記憶しているが、ゆかはすでにめぼしい店を軒か押さえたようだ。そこからさらに美鈴が食べれないものがある店を省くのだろう。
「ないよ」
短くいうと、すでに決め居ていた候補の中で一番近い店に決めたようだ。
「じゃ、ここにしよう。イタリアンだ!」
美鈴の手を引いて歩き出した。配列は変わり、最後尾で薫が美鈴を気にするように歩いた。
その飲食店は、本当にすぐ近くにあった。一見すると二階建ての普通の民家だが、一階を改装して店にしているようだ。
「ここです!」
そういって中に入る。店内は席数が少なく、三席ついた丸テーブルが四つだけある簡素なものだった。しかし雰囲気のいいしゃれた店だ。
さすがに昼時とあり、席は三つほど埋まっていた。
「いらっしゃいませ」
小太りの中年女性が愛想よく出迎えてくれ、三人を席に案内した。
「かわいらしいお嬢さんたちだから、サービスしてあげるからね」
「わ、ありがとうございます!」
愛想のいい者同士、女性とゆかが楽しそうにメニューを見て雑談を始める。
「今日は、新鮮なのが入ってるから、これとかお勧めだねぇ」
「ほんとですか! じゃ、アタシはこれ! みーちゃんどれにする?」
尋ねられた美鈴は真剣に悩んだ。どうやら毎朝仕入れられた食材によって、メニューが変わるらしく、クラフト紙に手書きされている。たしかに今日は海鮮ものがメインらしい。
「妹さんもたくさん食べないとねぇ。大きくなれないよ」
女性の言葉に、ゆかと薫が吹き出して笑った。
一瞬不思議そうな顔をした女性だが、もしやと尋ねる。
「あれ、違うのかい?」
確かにゆかや薫と比べて美鈴の背は小さく、まして二人が平均よりも大人びている分余計だ。それに胸にぬいぐるみを抱いてクマのリュックサックを背負っていれば、さらに幼く見えただろう。仲の良い姉妹に見えなくもない。
ひとしきり笑うと、美鈴は顔を赤くして俯いてしまう。美鈴だって自分が小さいことを気にしているのだ。
「この子、私達と同い年なんですよ」
薫が目元を拭いながら言うと、女性は本気で驚き、申し訳なさそうに詫びた。
「それはごめんねぇ。お詫びに、デザート付けてあげるから許してね」
気にはしているが、そこはやはりデザートという言葉には弱い。美鈴は目を輝かせて顔を上げた。
「ありがとうございます」
現金にも顔色を変えた美鈴に、女性も一緒にふき出して笑う。ひとり美鈴だけが小首をかしげる。
「ご機嫌直してくれたかい?」
美鈴が頷いて答えると、女性は豪気に笑う。注文も聞いて厨房に消えた。
「ここ、評判がこのあたりで一番良いお店なんだよ」
先ほど調べたから良く知っているゆかが、この店のことを話し始めた。ちなみに彼女は学校のテスト、それも全教科を一夜漬けで満点を取ったという常軌を逸した記録を持っている。薫のように毎日コツコツやれない代わりに、そういった才能があるようだ。
「ふぅん。たしかに、綺麗だし、料理もおいしそうね」
隣のテーブルをちらりと盗み見た薫が、素直に称賛した。
しばらくしてティーポットと人数分のカップをトレイに載せた女性が厨房から出てきて、美鈴たちのテーブルに来た。
「これ、サービスね」
そう言ってカップを美鈴たちのテーブルに並べた。サービス心も旺盛らしい。
「オネェ、ずいぶんサービス良いね!」
美鈴はこの近くに食べ物屋は殆どなかったように記憶しているが、ゆかはすでにめぼしい店を軒か押さえたようだ。そこからさらに美鈴が食べれないものがある店を省くのだろう。
「ないよ」
短くいうと、すでに決め居ていた候補の中で一番近い店に決めたようだ。
「じゃ、ここにしよう。イタリアンだ!」
美鈴の手を引いて歩き出した。配列は変わり、最後尾で薫が美鈴を気にするように歩いた。
その飲食店は、本当にすぐ近くにあった。一見すると二階建ての普通の民家だが、一階を改装して店にしているようだ。
「ここです!」
そういって中に入る。店内は席数が少なく、三席ついた丸テーブルが四つだけある簡素なものだった。しかし雰囲気のいいしゃれた店だ。
さすがに昼時とあり、席は三つほど埋まっていた。
「いらっしゃいませ」
小太りの中年女性が愛想よく出迎えてくれ、三人を席に案内した。
「かわいらしいお嬢さんたちだから、サービスしてあげるからね」
「わ、ありがとうございます!」
愛想のいい者同士、女性とゆかが楽しそうにメニューを見て雑談を始める。
「今日は、新鮮なのが入ってるから、これとかお勧めだねぇ」
「ほんとですか! じゃ、アタシはこれ! みーちゃんどれにする?」
尋ねられた美鈴は真剣に悩んだ。どうやら毎朝仕入れられた食材によって、メニューが変わるらしく、クラフト紙に手書きされている。たしかに今日は海鮮ものがメインらしい。
「妹さんもたくさん食べないとねぇ。大きくなれないよ」
女性の言葉に、ゆかと薫が吹き出して笑った。
一瞬不思議そうな顔をした女性だが、もしやと尋ねる。
「あれ、違うのかい?」
確かにゆかや薫と比べて美鈴の背は小さく、まして二人が平均よりも大人びている分余計だ。それに胸にぬいぐるみを抱いてクマのリュックサックを背負っていれば、さらに幼く見えただろう。仲の良い姉妹に見えなくもない。
ひとしきり笑うと、美鈴は顔を赤くして俯いてしまう。美鈴だって自分が小さいことを気にしているのだ。
「この子、私達と同い年なんですよ」
薫が目元を拭いながら言うと、女性は本気で驚き、申し訳なさそうに詫びた。
「それはごめんねぇ。お詫びに、デザート付けてあげるから許してね」
気にはしているが、そこはやはりデザートという言葉には弱い。美鈴は目を輝かせて顔を上げた。
「ありがとうございます」
現金にも顔色を変えた美鈴に、女性も一緒にふき出して笑う。ひとり美鈴だけが小首をかしげる。
「ご機嫌直してくれたかい?」
美鈴が頷いて答えると、女性は豪気に笑う。注文も聞いて厨房に消えた。
「ここ、評判がこのあたりで一番良いお店なんだよ」
先ほど調べたから良く知っているゆかが、この店のことを話し始めた。ちなみに彼女は学校のテスト、それも全教科を一夜漬けで満点を取ったという常軌を逸した記録を持っている。薫のように毎日コツコツやれない代わりに、そういった才能があるようだ。
「ふぅん。たしかに、綺麗だし、料理もおいしそうね」
隣のテーブルをちらりと盗み見た薫が、素直に称賛した。
しばらくしてティーポットと人数分のカップをトレイに載せた女性が厨房から出てきて、美鈴たちのテーブルに来た。
「これ、サービスね」
そう言ってカップを美鈴たちのテーブルに並べた。サービス心も旺盛らしい。
「オネェ、ずいぶんサービス良いね!」