隙透藻

文字数 392文字

ヒマスキモ。変な名前だ。ぶっちゃけ「ひじき」の事だ。ひじきは隙透藻もしくは干杉藻が転じて「ひじき」になった説と黒くて短い鹿のしっぽに似ているから鹿尾菜(ひじき)になった説かある。ちなみに干杉藻(ヒスギモ)は干している様子が杉に似てるかららしい。なら隙透藻は何なんだろう?

ひじきの思い出は、ひとり暮らしを始めた時、思い立って煮物を作ろうとした話だ。作り方は知っていた。だが私は「ひじき」の真の姿を知らなかった。

これが恐怖の始まりだった。

私は一袋水に戻してしまった。ボールに溢れかえるひじきを見た時、血の気が引いた。私は仕方なくそれを全て煮物にした。大鍋に溢れかえるひじきの煮物。当然だが一人で食べれる訳がない。半泣きで両親と祖母に押し付けた。なのに祖母はその事をずっと嬉しかったと言ってくれた。

今はひじきも怖くなくなった。サラダなどレパートリーが増えたからだ。むしろ物価高の強い味方だ。
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