あゝ非情(非情怪談)

文字数 381文字

幽霊に見つかると追いかけられるという廃墟に来た。

「帰ろう?写真も撮ったし。」
「まだ幽霊見つけてないじゃん。」

いや見つかったら追っかけられるから。なのに彼女はずんずん進んでいく。しばらくして突然彼女はシャッターを切った。そして僕の前を猛ダッシュで駆け抜ける。

「……見つかった!」

驚いて壁に張り付く僕の前、今度は髪を振り乱した女性が同様に疾走していく。

「……え?幽霊?……早い……早すぎる……。腿上げダッシュ、ガチ勢……。」

普通とは違う絶対的な恐怖を覚える。駆け抜けた幽霊のガチ腿上げダッシュ。それは容赦なく彼女に迫る。だが彼女も現役スプリンター、負けてはいない。こうして新旧ガチバトルが始まった。

鬼気迫る腿上げダッシュが彼女に迫った時、更に後ろから来た何者かに追い抜かれる。

「……遅ぇよ、アンタら。」

振り向いたターボ婆が非情な顔で笑う。二人はがっくりと膝をついた。
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