先頭集団免許

文字数 387文字

『スタートから30分。この辺で先頭集団が決まってきた様です。』

渋滞する中、マラソン中継がそう告げた。迂闊だった。今日はマラソン大会が開催される日だったのを忘れ、交通規制に巻き込まれてしまった。

『おっと?!ここで数名の選手に警告が出されました。』
『ああ、先頭集団免許取得が間に合わなかったか、更新忘れの選手ですね。』
『まだレースはわかりませんから強制措置は入りませんが、もったいないですね。』
『せっかく序盤で先頭集団に食い込めたのに……。』

先頭集団免許。それは先頭を走る者が持っていなければならないモノ。どんな場面においても、先頭を行く者には社会的な秩序やモラルが課せられる。マラソンだって、他の選手を妨害するようなスポーツ精神とモラルにかけた選手がいたのでは競技に影響する。

「……それにしても進まないなぁ?渋滞の先頭、免許持ってないんじゃないか?!」

私はそう、溜息をついた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み