リンダ リンダ リンダ

文字数 363文字

「貴方からも何とか言ってよ。」

息子がギターを始めたらしい。
程々にしろと注意してくれと妻は言う。

「血は争えないなぁ。」

仕方なく息子の部屋をノックしようとして……。

「リンダリンダ?!」

「うわ?!ノックぐらいしろよ!オヤジ!」

息子はそう言ったが、それどころではない。

「は?!何でリンダリンダ?!」

そう、それはかつて私が仲間と夢中に演奏した曲。私の青春。

つまり、昔の曲なのだ。

突然タイムスリップした様な感覚。
何故、今時を代表する様な息子が演奏しているのか?!

「いい曲だよな。これ。」

私は黙って部屋を出た。
押し入れの奥、捨てられなかったそれを持って息子の前に立つ。

「……オヤジ、ドラム叩けんの?!」

そこからエアドラム。
二人で熱唱。
すると妻が鬼の形相で入ってくる。

「あんた達!いい加減にしないと……跳ねるわよ?!」

そんな脅しが胸に響いた。
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