動き回る高層ビル

文字数 385文字

連日の暑さで、とうとう高層ビルが根を上げた。

「やってられるか!死んじまう!こんな炎天下の中、立たされて!日陰もなければ緑もない!中の連中が涼む為、エアコンの室外機からは熱気が放出され続け、風が吹いても熱風しか来ない!」

我慢の限界だったのか、高層ビルたちがビルとしての使命をかなぐり捨て、好き勝手に動き出す。

あるモノは海に沈み、あるモノは廃村となった山間部にそそり立ち、避暑地はあまりはっちゃけた選択ができなかったビルたちでごった返している。

「何だよ!もっと離れろよ?!」
「何だと?!お前こそもっと遠くに行けよ!」
「これじゃ都市部と変わらないなぁ〜。」

とはいえ都市部とは違い、風は涼しい。夜になれば冷えるのでヒートアイランド現象は起こらず快適だ。

「人間は何だって、好んであんな熱の溜まる場所を作ってそこに集まるのかねぇ?」
「さぁ?とにかくもう、私は暑いのは懲り懲りだよ。」
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