今日の天気は晴のち曇り、ところにより泡が降るでしょう。

文字数 382文字

『今日の〇〇地方の天気は晴のち曇り、ところにより午後は泡が降るでしょう。』

聞き流していたTVの言葉に動きが止まる。まじまじと見つめるが、画面は既にニュースに変わっていた。

「は?え?……泡?!」

そういえば転勤前に言われていた。あっちは泡が降るから気をつけろよ、と。言われた時も意味がわからなかったが、今も意味がわからない。

泡ってなんだ?そう思いながら出社すると皆がバタバタしていた。おはようございますと挨拶すると、市野さんに「何、呑気な事言ってんの!」と背中を叩かれる。

「あ!そうか!古場くん今年からだっけ?今日は泡予報が出ているから午前までに必要な業務は終わらせてくれるかな?」

部長がそう言った。よくわからないまま皆と必要業務を巻きで行う。

「……あ、泡!」

誰かが言った。窓を見ると本当に泡が降っていた。

小さなシャボン玉の様なそれは、雪のように街を白く変えていった。
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