執筆依存症(SF)

文字数 384文字

近年、様々な依存症が社会問題になっている。

「執筆はどの様な時に?」
「どんな時でも。辛い時も楽しい時も、何もする事がなくて暇な時も忙しくて寝る暇もない時もです。話を書いていると全てを忘れられる。どんなに苦しくても自分の葛藤や辛さがその時は薄れるので。」
「お食事は三食食べていますか?睡眠時間は?」
「話を書いているとどうしても……。」

医者は患者の言葉を医学用語にしてカルテに打ち込む。

「では出されたお薬をきちんと飲み、朝、散歩する様にして下さい。運動は脳の活動を活性化させます。執筆にもいい影響があると思いますよ?」
「わかりました。」

診察を終え、医者はふぅと一息つく。
執筆依存症だなんてと思っていたが、診察してみると中々深刻だ。
これはもっと世の中に認知してもらう為に彼らを題材にした本を……。

執筆依存症が依存症でなく、伝染性の感染症である事がわかるのは、少し先の話である。
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