嘘の良心 (エイプリルフール作品)

文字数 362文字

世の中には嘘が溢れてる。

だからエイプリルフールと言われても何も感じない。
それが4月1日限定の話だと言うことの方が幻想に過ぎないのだから。

でも、嘘は明確だ。
その裏に確かな正解がある。

1か0か。
+か-か。
陰か陽か。

嘘の反対には正しい答えがはっきりと存在している。

だからむしろ、嘘は良心的だ。
裏を返せば答えがある。

厄介なのは曖昧なもの。

裏表のはっきりしない、グレーなもの。
確かにそうでもあるし、違うとも言える。
そういったもの。

噂やおべっか。
曖昧に濁された言葉。

空気を読む、なんてのもある。

明確に嘘をつこうとしたものでもない。
輪郭のない、ぼやけた言葉たち。

それは嘘と違って真実が見えにくい。

騙そうとした訳じゃない。
そう言われれば、どこに悲しみや怒りをぶつければいい?

それは曖昧で、真偽を問いただすのが難しい。

嘘はむしろ良心的なのだ。
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