否定的なザワークラウト

文字数 386文字

金曜の夜なので、ちょっとカッコつけて、ビールとソーセージ、そしてザワークラウトを用意した。間接照明だけを点け、お気に入りの洋画を流しながソファーで寛ぐ。

「ひとりというのが寂しいのか、贅沢なのか。」

そんな事を呟いたら、付け合せのザワークラウトが捻くれた事を言い出した。

「どうせ私なんて、あってないようなものですしね。」
「いやいや、君に言った訳じゃないし。第一、ただのソーセージ盛り合わせじゃカッコつかないけど、君を盛っただけでお洒落な一品になるじゃないか?」
「でもさっきからあなたが用があるのは粒マスタードだけじゃないですか?」
「粒マスタードをたっぷりつけるって贅沢だよなぁ。」
「ほら、私なんてあったって意味はないんだ。」

しなしなに項垂れるザワークラウト。べそべそと酸味の強い汁が広がる。

「泣くなよ。寿司だってなんだかんだガリがなきゃ締まらないんだ。君もそういうものだよ。」
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