一閃きらきら

文字数 366文字

金平糖の天の川。
練切りの鵲が橋をかけ、今年も二人が出会います。

美しい飴細工の織物を手にした織姫。
ずっしりとした餡の詰まった茶饅頭の牛を従えた彦星。

物語は甘く溶けて七夕の夜空を飾ります。


ええ、物語は……。


何度も流された催涙雨。
もう流す涙も枯れ果てた。

一かけ二かけ三かけて。
仕掛けて殺して日が暮れて。

橋の欄干腰おろし。
はるか向こうを眺むれば、この世は辛いことばかり。

片手に線香、花を持ち。
お二人さんお二人さん何処行くの?

私ら牛飼い彦星と、
機織り織姫と申します。

「今宵は晴れまして。」
「天の川も近年すっかり嵩が減り、対岸からコミュニケーションはとれるのですが。」
「けれど直接会えるのは年に一度。」
「引き離されて幾千年の月日が経った事か。」
「おまけに雨天中止。」
「それで今日は元締めを……。」

二人の背後に孤高のトランペットが鳴り響いていた。
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