第33話 耳を澄ましてください、やる気がどこかへ流れ行く音が聞こえるでしょう
文字数 1,358文字
今日はなんとなんと、大好きな漫画の新作が出ますわ。
だから、本屋に行きたいのですわ。
しかもなんとなんと、大好きなラーメン屋で新商品が出るようですわ。
どうして、やりたいことは沢山あるのに、こうも動けなくなってしまうのでしょう。
漫画も読んでみたいのですわよ。
ラーメンの新作も食べてみたいのですのよ。
なのに、体が動かないのですのよ。
そう、まるで引力に押さえつけられているかのように。
しかし、体力は十分にありますわ。
では、なぜ動けないのでしょう。
ニーコだって、今日はやりたいことがあったのではないですか?
今日はこれからマッチングアプリで知り合ったイケメン御曹司とデートですわ。
吐きそうなぐらい楽しみですわ。
そのイベントはやる気が無いでは片付けられませんわよ。
ほら、ニーコも一緒に解決策を考えましょう。
これが解決できれば御曹司デートも出来ますし、今日の報告も終わりますわよ。
そんなことを言われても、こればかりは難しいですわ。
私は思います。何かをやる時に必要な力は、体力と、気力だと。
体力は物を食べたり睡眠を取ることで解決しますわ。逆に、食べない、寝ない、何もしないと体力はどんどん減ってしまいますわ。
気力はどうでしょう。気力だって、何もしないと減って行くと思いますわ。
確かに、気力もエナジーですわ。何もしないと擦り減るのは、その通りですわね。
そうなのです。そして私は、その気力、もといやる気が流れて行く音が聞こえる気がするのですわ。
耳を澄ましてください。やる気が、どんどん流れて行きますわ。
……感じますわ。
私の体の中から、やる気がどんどん出て行き、流れて行く感覚……。
山の上の水は下へ下へと流れますわ。
高い所に置いた球も下へ下へと落ちていきますわ。
やる気が下へ下へと流れて行く。
これも自然の摂理なのかもしれませんわね。
そうですわ。下に下にいる方が、きっと安心なのですわ。
たしかに、下にいれば怪我をしなくて済みますものね。
あぁ、私の体からやる気がどんどん流れて行く、なんて心地いいのでしょう……。
これは体験は貴重ですわ。本部に連絡しましょう。
「耳を澄ましてください、やる気がどこかへ流れ行く音が聞こえるでしょう」、送信ですわ。
『流れるやる気を上に持っていく、そんな力はありませんか?』
【背景画像】
ホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)
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