第11話 失敗の後ろに隠れていたのは、想いの結晶でした
文字数 1,331文字
ニーコ、ありがとうですわ。
まさか、ニーコが夕ご飯を作ってくれるとは思いませんでしたわ。
……苦味と酸味の戦争で、巻き添えを食らった気分ですわ。
失敗料理とは、非常に反応に困る物ですわ。
この先、失敗料理が出てきたら、その時の対応に困りますわ。
では、私はニーコになんと声をかければいいでしょう。
褒めて欲しいですわ。
どこか褒める所はありませんか?
……わかりました、以前教えてもらった嘘という技法を使いますわ。
えー、コホン。
この料理は、ビックリするぐらい美味しいですわ。
……わかりました、聞き方を変えますわ。
ニーコは、なんと言って欲しいのですか?
そうですわね。
忘れて欲しくないことが一つありますわ。
確かに、この料理は失敗しましたわ。
美味しくないかもしれませんわ。
でも、この料理の中には、お姉様への想いがありますわ。
作ってくれて、嬉しかったですわ。
ありがとうですわ。
目の前の失敗に縛られず、その背景を見れば自然と言葉は出てくるものですね。
この胸の温かさを、写真と一緒に本部に報告しますわ。
『失敗の後ろに隠れていたのは、想いの結晶でした。』
これは、本部も胸を打たれることでしょう。
『多分、それはふざけてますよ。過去に三度ほど、ふざけて適当な物を作っていましたので。』
……多少、探求心と好奇心が表れたのは、事実ですが。
腹減ったから、さっさとカップ麺でも買ってきてください。
【背景画像】
夜のホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)
【挿入画像】
失敗した料理:ぽふっ様(illustAC様より)
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