第5話 八つ当たりをしたら、深淵を目の当たりにしました
文字数 1,624文字
この塩味、手軽さ、溜まりませんわ。
きっとカップラーメンは幸福の象徴ですわ。
そうですわね。では、片付けをしたらカップラーメンについて語りましょう。
何故でしょう、不思議と怒りの感情が込み上げてきますわ。
それは、不思議な感情ですね。
議論したいのですが、余裕はありますか?
そのぐらいの余裕はありますわ。
私だってそこまで怒りんぼではありませんわ。
舐めないで欲しいですわ。
痛いからに決まってるじゃないですか。
そんなこともわからないのですか?
お姉様はアホなのですか?
あと、せっかく楽しんでいたのにそれが邪魔されたのも、怒りに繋がるのでしょうか。
そうじゃないですかね。
どっちでもいいですわ。
ほら、次、ですわ。
そ、そうですわね。
他にも、原因はあるのでしょうか。
ニーコ、怒り過ぎですわよ。
会話になっていませんわ。
仕方ないですわ。
怒りの感情はあるのに、誰に怒っていいかわからないのですもの。
誰に怒っていいかわからない、そんなことがあるのですね。
普段であれば、誰かに痛めつけられた場合、その痛めた相手がいますわ。
そのため、そこに怒ればいいですわ。
しかし、小指をぶつけた場合、痛めた相手がいませんわ。
そのため、誰に怒っていいかわからなくなってしまいますわ。
そういうことだったのですね。
では、私の怒りは誰にぶつければいいのですか?
それは、確かに困りましたわ。
この場合、どうすればいいのでしょう。
この国には、「八つ当たり」という手法がありますわ。
これは、怒りを関係の無い相手にぶつける方法ですわ。
なるほど、そうすれば小指の怒りが解消されますわね。
その通りですわ。
だから先程、お姉様に怒ってしまっていたのですわ。
そのため今からは、正式にお姉様に怒りをぶつけますわ。
はい、そうですわ。
最も近くにいるのはお姉様ですわ。
そのため、お姉様に八つ当たりするしかないですわ。
理不尽は、私も一緒ですわ。
私も、ただ何気なく過ごしていたのに、いきなり痛めつけられましたわ。
それはおかしいですわ。
ニーコは自分で足をぶつけたのだから自分のせいですわ。
私に怒らないで欲しいですわ。
知らねぇですわ。
いいから、お姉様は私の怒りに付き合えですわ。
うるせぇですわ。
お姉様は黙って聞いてりゃいいですわ。
私の怒りの捌け口になれ、ですわ。
黙って私の言うことを聞け、ですわ。
わかってくれて嬉しいですわ。
怒っているニーコを見るなんて、嫌ですわ。
……本部に報告しましょう。『八つ当たりをしたらお姉様がブちぎれて……』
『八つ当たりをしたら、深淵を目の当たりにしました。』
……これで、送信しますわ。
【背景画像】
ホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)
【挿入画像】
カップ麺醤油_空容器:もにょれいん様(illustAC様より)
カップ麺カレー_空容器:もにょれいん様(illustAC様より)
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