第36話 幸せの永久機関には欠陥があるため、ゴリ押します

文字数 1,598文字

幸せの永久機関を発明しました、褒めてください。
すーばーらーしーいーっ!!
……話を全く理解していないのですが、幸せの永久機関とはなんですか。
幸せの永久機関とは、生きている限り無限に幸せを感じることの出来るシステムですわ。私は、そのシステムの開発に成功しましたわ。
なんと素晴らしいことでしょう。ぜひとも、私に教えて欲しいですわ。
このシステムはあまりにも素晴らしすぎるため、授業料として10万円かかりますわ。
じゃあ別にそこまで興味は無いので、教えていただかなくて大丈夫ですわ。
聞いてよぉ……
仕方ないですね、ただで聞いてあげますわ。

では、幸せの永久機関の説明をしてください。

わかりました。ただ、普通に説明してもわかりづらいので実践してみましょう。
今から、特上寿司の出前を取りましょう。
お寿司だーっ!!
……なんで?


お寿司が届きました。

 

すしーっ!!
すきーっ!!
流石、特上寿司ですわね。見ているだけで涎が流れて服がびちゃびちゃですわ。
では、早速いただきましょう。
はい、ストーップ!!
ふぇ?
今、まさに今この瞬間、お姉様は幸せを感じませんでしたか?
たしかに、非常に幸せを感じましたわ。
私は、発見したのですわ。

待ち望んでいた幸福が訪れる瞬間、私達は最高の幸福を得ることができますわ。

いわば、幸福の頂をいただきっ、ですわ。

なるほど、たしかに今は幸せでしたわね。

ですが、この後にお寿司を食べるのですから、お寿司を食べている時も幸福ではないですか?

いいえ、お寿司を食べ進めるほど、幸福に慣れてしまい幸福を感じづらくなりますわ。

挙句の果てに、お寿司を食べ終わってしまうという不幸を感じ始めるため、幸福は減っていきますわ。

そんな、それでは永久機関では無いですわよ。
ここからが発明なのですっ!
はい。
このお寿司を食べている瞬間、次の幸せを考えてしまうのです。

このお寿司を食べたら、次はどうしよっかな~って。次なる幸福を見つけ出すのです。

そうすれば、次の幸福に向かうため、幸せをキープしたままお寿司を食べ終わることができますわ。そして、次の幸福が訪れた時にはその次の幸福を考え、幸福を維持し、更に次の幸福へ……。
これぞ、永久機関ですわっ!!
なんとっ!!
では、お姉様、お寿司を食べた後は何をしますか!!
え、風呂入って寝ますけど。
…………。
なんも面白くねーじゃん。
仕方ないではないですか、特段やることも無かったので。
そうですわね……。

これは欠陥ですわ。幸せの次に別の幸せを起こすなど、普通は考えませんものね。

正直なところ、頭の中は寿司でいっぱいですわ。
大トロとウニが頭の中でダンスしていますわ。
永久機関を起こす場合、幸せにのめり込まず次に進める力が必要なのですわね。
その力は、普通の人では持ちえない類稀なる才能ですわね。

私達には不可能ですわ。

では、仕方がないですわ。ここはもう、ゴリ押しましょう。
ゴリ押し、ですか?
はい、ゴリ押しますわよ……
お寿司を食べた後のお風呂は、入浴剤たっぷりの絶頂の湯にしましょう!!
おっ!!
寝る前にはポテチとコーラでゲームをだらだらする、背徳感もりもりのスペシャルカウチポテ~トしましょうっ!!
よっ!!
夜は森のせせらぎと波の音を流し、最高のリラクゼーショングーグーですわ!!
もういっちょ!!
明日は昼まで寝ていましょうっ!!
さいっこうっ!!
幸せだーっ!!!!
幸せだーっ!!!!
そんなわけで、本部には『幸せの永久機関には欠陥があるため、ゴリ押します』と報告しましょう。
結果として、ゴリ押しのおかげで幸せになりましたわ。

お姉様には、感謝ですわ。

エッヘン。
ブーッ
本部から返答が来ましたわ。
『その永久機関に仕事は含まれていない感じですか?』
…………。
…………。
寿司うめー。
うめー。


 

【背景画像】

夜のホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)


【挿入画像】

寿司桶に盛られた寿司:ゴダラッペ様(illustAC様より)

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

イーコと申しますわ。

感情を勉強中ですわ。

高級な装飾品を身につけた時の優越感を知りたいですわ。

「もういい、お前は帰れ」と言われたため、本当に帰ったら怒られましたわ。

よろしくお願いしますわ。

ニーコと申しますわ。

感情を勉強中ですわ。

なぜ徹夜を自慢するのか、その原因を知りたいですわ。

「そこに立ってろ」と言われたため、一日中直立していたら怒られましたわ。

よろしくお願いしますわ。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色