第36話 幸せの永久機関には欠陥があるため、ゴリ押します
文字数 1,598文字
……話を全く理解していないのですが、幸せの永久機関とはなんですか。
幸せの永久機関とは、生きている限り無限に幸せを感じることの出来るシステムですわ。私は、そのシステムの開発に成功しましたわ。
なんと素晴らしいことでしょう。ぜひとも、私に教えて欲しいですわ。
このシステムはあまりにも素晴らしすぎるため、授業料として10万円かかりますわ。
じゃあ別にそこまで興味は無いので、教えていただかなくて大丈夫ですわ。
仕方ないですね、ただで聞いてあげますわ。
では、幸せの永久機関の説明をしてください。
わかりました。ただ、普通に説明してもわかりづらいので実践してみましょう。
流石、特上寿司ですわね。見ているだけで涎が流れて服がびちゃびちゃですわ。
今、まさに今この瞬間、お姉様は幸せを感じませんでしたか?
私は、発見したのですわ。
待ち望んでいた幸福が訪れる瞬間、私達は最高の幸福を得ることができますわ。
いわば、幸福の頂をいただきっ、ですわ。
なるほど、たしかに今は幸せでしたわね。
ですが、この後にお寿司を食べるのですから、お寿司を食べている時も幸福ではないですか?
いいえ、お寿司を食べ進めるほど、幸福に慣れてしまい幸福を感じづらくなりますわ。
挙句の果てに、お寿司を食べ終わってしまうという不幸を感じ始めるため、幸福は減っていきますわ。
このお寿司を食べている瞬間、次の幸せを考えてしまうのです。
このお寿司を食べたら、次はどうしよっかな~って。次なる幸福を見つけ出すのです。
そうすれば、次の幸福に向かうため、幸せをキープしたままお寿司を食べ終わることができますわ。そして、次の幸福が訪れた時にはその次の幸福を考え、幸福を維持し、更に次の幸福へ……。
仕方ないではないですか、特段やることも無かったので。
そうですわね……。
これは欠陥ですわ。幸せの次に別の幸せを起こすなど、普通は考えませんものね。
永久機関を起こす場合、幸せにのめり込まず次に進める力が必要なのですわね。
その力は、普通の人では持ちえない類稀なる才能ですわね。
私達には不可能ですわ。
では、仕方がないですわ。ここはもう、ゴリ押しましょう。
お寿司を食べた後のお風呂は、入浴剤たっぷりの絶頂の湯にしましょう!!
寝る前にはポテチとコーラでゲームをだらだらする、背徳感もりもりのスペシャルカウチポテ~トしましょうっ!!
夜は森のせせらぎと波の音を流し、最高のリラクゼーショングーグーですわ!!
そんなわけで、本部には『幸せの永久機関には欠陥があるため、ゴリ押します』と報告しましょう。
結果として、ゴリ押しのおかげで幸せになりましたわ。
お姉様には、感謝ですわ。
『その永久機関に仕事は含まれていない感じですか?』
【背景画像】
夜のホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)
【挿入画像】
寿司桶に盛られた寿司:ゴダラッペ様(illustAC様より)
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